ひとり旅はつまらない、寂しいという意見をたまに耳にします。たしかに旅行の体験や思い出を共有できなかったり、料理やアクティビティの選択肢が制限されてしまいます。それでも、ひとり旅にしかできない体験もあると思います。
最も大きなメリットは自由に予定を立てられることでしょうか。突然思い立って行き先を変更することができますし、同行者を気にせず行きたい場所へ行くこともできます。
私が旅行に出かける際は自分なりのテーマがあることが多く、観光というよりは取材に近くなる場合があります。また、名所や料理、温泉や旅館といったものよりも、自分自身が身を置きたい場所を求めることが多いです。たとえば、テレビのドキュメンタリーで何気なく観た入り江の寂れた街などです。さらに、そこが有名ではない場所だと興味がわきます。自分の知らない場所でも人の営みがあって、同じように時が流れているのだと感じるのが心地よいのです。
大抵、そのような場所は観光施設が充実していないことが多く、交通の便も悪いものです。私以外の人にとっては苦行以外の何ものでもないと思います。
ほかのメリットはじっくり自分を見つめなせることでしょうか。実際には、考えようとしても答えなんて導き出せず、普段の生活と同じように頭のなかで堂々巡りするだけです。それでも、旅を終えてしばらく経ってから答えを見つけたり、ひとりでいることをすこし寂しく思い、いつもやさしくしてくれる誰かを恋しく思うことはできます。
翻ると、こんな偏屈な私にいつも嫌な顔をせず、一緒に楽しんでくれるパートナーには感謝しています。あまり多くの人と一緒に旅行に出かけるのは苦手ですが、気の合う人との旅は楽しく思います。時折ひとり旅をまぜれば、道中のわがままを同行者に押し付けることなく、余裕をもって楽しめるのではないかと思います。