パルテノペ:小説の情景 移動編

8月終わりに「パルテノペ」の舞台となった室積に行ってきました。
台風がやってくるので知人たちから心配の声が上がっていましたが、小説と同じ情景が見れると思い、内心ウキウキしながら向かいました。
三日滞在のうち初日は快晴、二日目は曇り、最終日は台風上陸で大雨。小説では行きが台風で、到着する頃には晴れていました。それから夕方に再び崩れるという流れだったので若干異なりますが、それでも小説全ての天気が網羅されていました。
今回はカメラに収めたパルテノペの情景を、小説に合わせて紹介したいと思います。
第一回目は「移動編」です。

雨雫が打ち付ける車窓

雨雫が打ち付ける車窓
敏志と喧嘩をした郁でしたが、芦室に出発する日になっても仲直りができないままでした。彼女は電車の中で彼が来るのを待ちましたが、ついに姿を現しませんでした。電車は走り出し、雨が激しく車窓に打ち付けます。まるで心残りの涙のように、雨雫は進行方向とは逆に流れていきます。

台風の中の新幹線(JR山陽新幹線 広島駅)

台風の中の新幹線(JR山陽新幹線 広島駅)
郁たちは新大阪に到着してから、さらに西へと進みます。台風の進路とは逆なので、崩れた天気は次第に治まってきました。台風から電車が解放されていく姿は、郁の心のわだかまりが少しずつ晴れていく様子と重なります。

国道から眺める海(山口県光市室積)

国道から眺める海(山口県光市室積)
芦室の最寄り駅に到着した郁たちは、バスに乗って目的地を目指します。ずっと恋い焦がれていたあの海に再会したい。郁は逸る気持ちを押さえながら車窓を眺めていたことでしょう。バスが国道の先に辿り着くと、芦室の海が一面に広がっていました。

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