パルテノペ:小説の情景 海編

パルテノペ」で最も印象的な場所といえば、芦室の海です。
瀬戸内海に面した自然が豊かな場所で、郁と敏志を家族や親友のように温かく包み込んでくれました。
実際のモデルは山口県光市にある室積という街で、小説と同様に美しい景色が広がっています。花火大会の海は三浦半島がモデルですが、それ以上に波が穏やかで、どこか神や精霊の存在を感じさせます。
今回はそんな、室積の海の紹介をしたいと思います。
パルテノペの情景、第二回目は「海編」です。

思い出の海(山口県光市室積 象鼻ヶ岬)

思い出の海(山口県光市室積 象鼻ヶ岬)
郁と敏志は幼い頃の一年間、この海に囲まれて過ごします。豊かな水を湛えた海は、引越しで不安に満ちた郁たちの心を優しく包み込んでくれました。

優しく寄せる波(山口県光市室積 室積海岸)

優しく寄せる波(山口県光市室積 室積海岸)
芦室に久しぶりに訪れた郁の全てを、海は受け止めてくれます。甘い潮の香り、優しく砕ける波、温かくて柔らかい水。郁は敏志との諍いで塞いでいた気持ちが、海に溶け出す心地がしました。

嵐の近づく海(山口県光市室積 室積海岸)

嵐の近づく海(山口県光市室積 室積海岸)
陽が沈むと、次第に天気が崩れ始めてきました。瀬戸内海は嵐の日でも穏やかですが、やはり自然の恐ろしさも持ち合わせています。郁も幼いときにそれを実感し、大事なものをそこへ置いてきてしまいます。

静かに暮れる陽(山口県光市室積 室積海岸)

静かに暮れる陽(山口県光市室積 室積海岸)
穏やかな海に、ゆっくりと沈んでいく太陽。郁と陽太はこの夕陽を見ながら、今の自分たちにとって大事なものを語り合います。二度と同じ夕陽が巡ってこないように、今ある時間も返ってはこないのでしょう。

海の向こうに灯る街(山口県光市室積 室積海岸)

海の向こうに灯る街(山口県光市室積 室積海岸)
静かに暮れる海の向こうに、ぽつりと浮かぶ街の灯。敏志は幼い頃の記憶を呼び戻すために、ひとり街へ向かいます。郁が海という存在であれば、敏志はこの街の灯のようなものなのかもしれません。暗闇の中でも同じ場所で灯りを燈し、彼女のことを見守りながら待ち続けているのでしょう。

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