叔母の恋人:新作について

新作の短編がようやく書き上がりました。
今回はそのあらすじなどを少しだけご紹介します。

猫の置物

表題は「叔母の恋人」です。

冬のある日、主人公・茜の叔母が交通事故で亡くなります。
そのため、茜は叔母の遺品の整理をすることになりました。
雪の降るなか、叔母の家で作業をしていると、ひとりの若い男性が訪ねてきます。
その男性は「自分は叔母の恋人だった」と茜に告げます。
その男性に興味を持った茜は遺品の整理を一緒にやらないかと誘い、ふたりは少しの間行動を共にします。

親しい人間が突然いなくなる。
故人が、なにを考え、行動していたのか知ることができなくなってしまう。そして自分は、生前その人についてあまり理解していなかったということに気付く。

人は一人ひとり、内なる思いを秘めているものです。
相手の個人的な思いや気持ち、過去を想像することで、その人が自分にとってどんな存在だったのかを改めて知るきっかけとなると思います。

この小説を書く少し前に、私は大切な人を失ったばかりの友人たちと話す機会がありました。
いまだにその喪失を受け入れることができない友人もあれば、潔く死を認め懐かしむ友人もいます。
私にも同じような経験があるので、友人たちの心情は心に響くものがありました。

今回の作品では小説らしく少し奇妙な設定が入っていますが、それは現実で起きている人々の気持ちの動きを強調させるために用いています。
また、ひらがなを多く用いて読みやすさに気を遣ってみました。
悲しみや後悔を抱える人々に、ふわっと優しく包み込むような雰囲気が出せていれば嬉しく思います。

公開はいつにしようか思案中です。
今回も短編集として同時に出すか、それとも一冊ずつ出そうか迷っていますが、早く皆さんに読んでもらいたいと思っています。

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