夏目漱石の初版復刻本

古いものというのは、趣きのあるものが多いように感じます。
今回は、日本近代文学館の復刻した夏目漱石の本について紹介します。

日本近代文学館の夏目漱石復刻本

実際の初版本は十数万円の価値があるので手が出ませんが、この復刻本は現在、古本屋やオークションなどで良心的な値段で手に入れることができます。
それでも復刻本とはいえ、それぞれ趣向を凝らした装幀で、現在出版されている本とは一線を画すクオリティとなっています。

日本近代文学館の夏目漱石復刻本

この「吾輩は猫である」三巻セットは、以前知人からプレゼントしていただきました。
国語便覧などに掲載されていてたなじみ深い表紙画が目を引きます。

日本近代文学館の夏目漱石復刻本

こちらの書籍はページがアンカットになっています。
読み進めるにはペーパーナイフで切り取っていかなくてはなりません。
ファンにとって魅力的なのは、初版時の原文がそのまま掲載されていることです。
現在出版されている本は誤字と扱って直しているところを当時のまま表記しています。
これは誤字ではなく、漱石が意図してあてた字です。

日本近代文学館の夏目漱石復刻本

その他の本も、色とりどりの美しい装幀で眺めているだけでも飽きません。
復刻本は「名著復刻 漱石文学館」として、23作25本復刻されました。
私はそのなかから四冊を選んで「吾輩は猫である」を贈ってくれた知人のプレゼントとして購入しました(この写真は知人に渡す前に撮影したものです)。

日本近代文学館の夏目漱石復刻本

中でも素敵だなと思った装幀は「彼岸過迄」のものです。
十二支の動物と、美しい女性のイラストが描かれています。
この他にも「明暗」や「道草」、「虞美人草」なども美しいので、いずれ購入したいと思っています。

古い書籍は魅力あふれたものがたくさんあり、とても羨ましく思います。しかし視点を変えてみれば、今の時代は古いものも新しいものも同時に手に入れることができます。こんな文化の熟成された時代に生きられることに感謝するとともに、私自身が書く小説も普遍的な価値を見いだせるように頑張らなければならないなと思います。

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