深まる秋

十月も半ばになり、そろそろ年末を少し意識し始める季節です。
今年過ごしてきたことを振り返り、あと二ヶ月あまりをどのように過ごそうかと考えてみるのもよいかもしれません。

長野県車山高原

先日、友人の結婚式に出席するために長野県の車山高原に出掛けました。
車山高原は霧ヶ峰の最高峰、車山にある自然豊かな高原です。
日帰りで訪れたので慌ただしい一日でしたが、ホテルや車から覗く山々は、うっすらと色づいていて季節の深みを感じました。

長野県車山高原

木々は冬から春に葉が芽吹き、緑を深めて、秋に向かい茜色に染まっていきます。冬には葉を落として深い眠りにつきますが、この短い一年のなかで着実にそのプロセスを進めていきます。

そうして振り返ってみると、自分は今年一年どのように過ごしてきたのだろうと思います。
木々は実をつけ、ある程度の成果を残します。しかし、成果という言葉は少し語弊があるかもしれません。彼らはきっとその先の一年を見越して、準備のために実をつけているのでしょう。では、私はどうでしょうか。この十ヶ月に何を成し、次に向けて準備をしてきたのでしょうか。

長野県車山高原

人間の場合なら、勉強や仕事での実績、恋愛や子育てなどがそれに当てはまるのでしょうか。
そう考えると、私は何もできていない気もしますし、できていたとしても非常に少ない「実」であるように思います。
とりわけ私のしなければならないことは小説を書くことです。また、このコラムを続けることも重要なこととして捉えています。
小説は今年に入って「洞窟の坂」「叔母の恋人」という新作がふたつ出来上がり、現在もう一作を執筆中です。当初でいえば、四編ほどがひとつになった短編集を出したいと思っていたので、少しペースが遅いと言っていいでしょう。また、コラムに関しては継続的に書き続けていますが、質がともなっているかは疑問です。こちらに関しては大いに反省の余地があり、まだまだだと思っています。

長野県車山高原

しかしながら、なにもできていないわけでもありません。
口だけにならず、言い訳をせず、焦らずにあきらめない。この気持ちは大切だと思っています。自分を木だと思えばなおさら、来年はより大きな年輪を身にまとって、色づきや果実の深みを増すために、細々でも道を絶ってはいけないと思っています。

そして幾年か過ぎたころに、自分のなかに豊かな森が作れるように、粛々と努力をしていければならないなと思っています。

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