コラムを読んでいただいている方はご存知と思いますが、私は寂びれたところや古ぼけた場所が大好きです。もちろん新しくて綺麗な場所も好きですが、どこか物足りなさを感じてしまいます。
私は寂びれた場所についつい足を運んでしまいます。地元の常連しか通わないような喫茶店、子どもさえ遊ばない小さな公園、猫のたむろする墓地などです。若かりし頃は流行りのスポットや、お洒落なお店に行ったりもしたのですが、今ではあまり気が進みません。
流行の場所はそもそも気に入られようという思惑が見て取れ、わざとらしく感じてしまうからなのでしょうか。寂びれた場所のほうが気負いせず、気兼ねもしないので楽だからかもしれません。もしくは育ちがあまりよくないので、慣れているからかもしれません。
ニューヨークの旅行中もどこか寂しげであったり、庶民的なところに出向いていたと思います。
Viand Coffee Shopというダイナーも、そのような場所でした。ニューヨークによくある平凡なお店でしたが、探してみると意外に見つからない、古き良きアメリカの詰まったお店です。
調理場の見える狭い店内に、外国訛りのある店員さんがあくせく働いていました。料理は量が異常に多く、野暮ったい印象ですが、味は抜群でした。映画に出てくるような雰囲気でありながら、そこまで気取っていない平凡な感じが気に入りました。上海でもそうでしたが、最近のニューヨークは小奇麗なわりに味も雰囲気も中途半端なお店が多くなっているような気がします。そのようなお店で平均的な満足を得るよりも、少々古めかしいお店のほうが、何倍も印象に残るものです。
皆さんもニューヨークに訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。