人は自分自身のことを知っているようで、まったく分かっていないものです。普段は考えないふりをして日常に身を任せ、あるときにふと立ち止まって考えるものです。自分探しなんて厄介だと思うのですが、自分自身にとって大事なことであると分かってもいます。
しかしながら、大人になるためには自分探しにうつつを抜かさないことが大事です。「大人」という定義自体が曖昧なのですが、自分のことよりも家族や他者を優先するのが大人である条件だといえます。ですから自分探しをやめにするか、もしくは見つけたふりをして早々に切り上げてしまうのが得策です。また、他者の人生をサポートすることで自分自身を発見する場合だってあります。だからこそ結婚や子どもを持つことは、自分自身を固めるうえで大いに役立つものですし、成長を促すのだと思います。
それでも、それらは自分自身の在り方の選択肢を狭めてしまう恐れもあります。その選択に踏み切れずにずっと独りでいる人々が、未婚者として多く存在するのだと思います。
かくいう私もそんなひとりで、旅を続けている最中です。もう少し現実的に言うと、覚悟が決まらないまま、ふらふらと優柔不断なときを過ごしています。また、結婚や子どもを持つことに興味がないわけではありませんが、他に優先したいこともあります。
それはなにかと言えば、やはり自分探しです。
もしかすると自分自身のためだけに、エゴイスティックに生きたいのかもしれません。非常に稚拙な考えかもしれませんが、正直な感情を見渡すと、そのような結論に行きつきます。また、そんな生き方に誰かを付き合わせてしまうことに怯えているのかもしれません。自信のなさと、他者に甘えることの恐怖が入り交じっているのだと思います。
いずれ歳を取り、こんな私の周りには誰も寄り付かなくなっているかもしれません。その覚悟はできているつもりですが、それでも誰かがそばにいてくれたら、やっぱり嬉しいのだと思います。まだ旅路の途中で、どのように進みたいのかも定まっていませんが、今はそのような心持ちでふらふらと彷徨っている最中です。
