ツバメのはなし

春も本格的にやってきて、野鳥たちが元気に飛び回るようになりました。耳を澄ませば、さまざまな種類の鳥たちのさえずりが聞こえてきます。

東京都北区豊島:ツバメ

私は少し前から野鳥観察を始めるようになりました。鳥の鳴き声が聞こえてくれば空を見上げ、双眼鏡やカメラの望遠レンズを覗くようになっています。
じつのところ、スズメを観察するだけでもじゅうぶん満足なのですが、見慣れぬ鳥を発見する楽しみも捨て難いものがあります。一年じゅう日本にいるヒヨドリやムクドリ、冬にしか訪れないキンクロハジロやハシビロなどの水鳥も、ちょっとだけ注意すれば間近で観察することができ、今まで気がつかなかったのが不思議です。そしてツバメも、冬には見ることができない春の鳥として、出会えると嬉しい気分になります。

東京都北区荒川河川敷:ツバメ

先日、土手に出かけたのですが、そこにもツバメが飛んでいました。風の流れをうまく掴んでは空を切り裂き、自由自在にダンスを踊っているように見えました。翼を広げた姿は流線型の無駄のない美しさがあり、ときにはその翼で200キロの速度で飛ぶこともできるそうです。

東京都北区豊島:ツバメ

また、土手から少し離れた団地の吹き抜けにもツバメが留まっていました。近づいても逃げずに、人のことなんてまったくお構いなしの様子でした。本当はいけない行為ではありますが、周りが暗かったためストロボを使って撮影させていただきました(ツバメさん、ごめんなさい)。

東京都北区豊島:ツバメの巣

深い蒼色の毛並みはなんとも美しく、眼差しは小さい瞳ながら凛々しくて、完璧な生き物のように感じました。近くに巣があったので、これから卵を産み、ヒナを孵して子育てに励むのでしょうか。

東京都北区豊島:ツバメ

彼らを間近で見ると、本当に小さく感じます。しかし、秋には南へ向かって越冬し、太陽で向かうべき方向を見定め、海の上では飛びながら眠ります。子育てのために故郷まで戻り、つがいで真面目に行ないます。なんて頭が良くて勇敢で、責任感があるのでしょう。それらは全て本能がさせることではあるのでしょうが、尊敬すべき存在であります。

東京都北区荒川河川敷:スイバ

そう思うとツバメだけではなく、路傍に咲く草花や、虫や動物たちも、目立たないながら一所懸命生きています。私は先日、四十歳になりましたが、彼らに見習いこれからの人生を生きたいと思いました。

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