幼馴染

最近の私は、趣味の散歩に磨きがかかってきたように思います。目に入るものに興味を示しながらも雰囲気だけ追っていたこれまでとは違って、些細なものでも詳しく知りたいと思うようになっています。

ハナニラ

とりわけ野鳥や街路樹、そして雑草と呼ばれる草花が今いちばんのお気に入りです。
思えば海外の生活を除いた35年ほどは、これらにいつも囲まれていたのかと思うと感慨深いものがあります。私が子どもの頃に遊んだ土手沿いの道にも、毎日通った学校の垣根にも、彼らはいつも存在して、傍らで息づいていたのです。

アカカタバミ

例えば、塀の隙間から生えるカタバミの花。葉はクローバーに似ていて、正直混同していたように思います。カタバミはカタバミ科、クローバーはマメ科なので異なるものですが、四葉の変異体も存在するので同じ仲間だと思うのはしょうがないことなのかもしれません。

シロツメクサ

葉のかたちも似ていますが、花を見れば一目瞭然です。クローバーは和名のシロツメクサの通り、白く丸い花を咲かせますが、カタバミは黄色でまったく異なるかたちをしています。
さて、カタバミでも四葉なら幸せを掴めるものなのでしょうか。

ハルノノゲシ

こちらはハルノノゲシです。タンポポのような花を咲かせるのですが、茎はたくましく空に向かって伸びていて、明らかに異なります。しかし子どもの頃は名前が分からず、なんとなく「タンポポに似た何か」として認識していました。

スズメとカラスノエンドウ

街の公園には、スズメの群れがたくさん集まっていました。なぜこんなに集まっているのだろうと不思議に思っていましたが、その理由は近くに生えているカラスノエンドウのせいだと分かりました。

カラスノエンドウ

カラスノエンドウは小さなエンドウ豆を実らせる植物ですが、その茎を調べてみるとアブラムシが付いていることが分かります。スズメはこのアブラムシを食べるために群がっていたのです。スズメは人の食べるものを好むものだと思っていると、意外に見落としてしまう事実です。スズメも人工的なものよりは、自然のものを食べたいのかもしれません。

ヒメオドリコソウ

こちらはヒメオドリコソウです。ホトケノザという植物によく似ていますが、葉のかたちや色の付き方で見分けることができます。こちらも土手や空き地などに生えるありふれた植物ですが、春になって律儀に花を咲かせるその姿が可愛らしく、コートを着た妖精のようです。

ムクゲ

その他にも、目にしているのに気にも留めない植物はいくらでもあります。しかし、それらのひとつひとつに足を止めて名前や生態を調べるだけで大きな発見と喜びが得られます。彼らはいわば私たちの幼馴染であり、悲しいことや楽しいことがあった子ども時代、思い出すと一緒にいたような気がします。
地産地消やローカルライフが見直されるようになりましたが、本当に身近な存在に対して意識が向けられることはありません。私は彼らによって心の豊かさを知らず知らずのうちに育てられてきたことに、改めて感謝したいと思います。

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