台風が過ぎた瞬間に、思いがけず夏がやってきました。
三連休中の二日間は猛暑が続きましたが、夏とはこんなに暑いものだったのかと驚かされました。
日射しの下にいると汗だくになるくらいの暑さでしたが、日陰に逃げれば品の良い涼しさが身体を包みます。蝉もあちらこちらで鳴き始め、足元には抜け殻が転がっていました。
私は冬よりも夏のほうが好きなので嬉しいかぎりですが、さすがにこれだけ暑いと八月、九月が思いやられます。
先日は久しぶりに鰻（うなぎ）を食べに行きました。やはり今の季節に食べると味は格別です。しかし実のところ鰻の旬は春だそうで、夏は油が落ちてしまい少し味が落ちるそうです。鰻は稚魚から養殖が可能ですが、卵からの完全な養殖は実現しておらず、絶滅が危惧されています。とても残念な話ではありますが、生き物や文化を守るために食する側も我慢が必要になってくると思います。
夏と言えば、鰻以外にも様々な楽しみがあります。私が好きなのは、神社にお参りに行くことです。お参りは年がら年中できることではありますが、日射しを避けるように豊かな杜に訪れると、なんとも言えない風情があります。手水鉢（ちょうずばち）の水は涼しげで、本殿の影のしんみりとした色合いに穏やかな温度を感じます。
瑞々しい朝顔、可愛らしいかたちのほおずき、鮮やかな金魚、青い空、見回せば豊かな夏がいっぱいです。暑さだけに気を取られるのではなく、こうした季節を感じさせるものに目を向ければ、きっと豊かな時間を過ごせるのだと思います。
