逗子アートフェスティバル2015市民企画公演、Instrumental Live「Impressions」が満員御礼のうちに終演しました。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。
当日は１０月の空と逗子の街並みがみずみずしく、ガラス戸に囲まれた会場にぴったりの陽気となりました。今回は「逗子の散策」が主要なモチーフでしたので、天気が良くてホッとしました。
開演前のリハーサルや設営、そして開演後も終始なごやかで、私や作編曲の中野徳子さんが求めていた以上に心地よい空気が流れていました。ゲストの佐藤もとむさんのユーモアのセンスに観客の方たちだけでなく、演奏しているRosco Motion Orchestraの皆さんにも笑顔が浮かんでいました。
佐藤もとむさんはコミカルな要素を加えながらも、しんみりとした演技で丁寧に場面を紡いでいました。見ていて惚れぼれとしてしまい、いつまでも彼の演技を見ていたい気持ちになりました。
Rosco Motion Orchestraの演奏も逗子の穏やかな情景を繊細に表現していました。演技を入れながらの難しい演目だったと思いますが、メンバーそれぞれの持ち味を生かしつつ、全体の空気をまとめあげていました。
客席が３０席前後というこじんまりとした会場でしたが、逆に演じる側と観客の皆さんとの境界線を曖昧にできて、一体感を醸成できたと思います。木造の暖かな雰囲気も、皆をリラックスさせてくれたと思います。観客の皆さんもとてもあたたかい眼差しで鑑賞していただき、演奏会に立ち会ったすべての人や物が、ひとつの流れを生み出していました。
人はどんなに修練を重ねていても、どれだけ経験を積んでいても、何かを成し遂げなくてはならない瞬間には弱気の心が見え隠れするものです。しかしながら、それに対して勇気を振り絞って立ち向かい、挽回しようとする意志の強さを持っている人こそ、真の実力を発揮できるプロフェッショナルなのだと思います。Rosco Motion Orchestraや佐藤もとむさんはそのような心を持ったアーティストであると思います。
さらに、彼らは努力や実力をひけらかそうとせずに自然体でいるのが素晴らしいなと思いました。
私自身は初めて脚本を書く機会を得て、まとめあげる難しさを強く感じました。言葉のテンポだけでなく、耳を通して理解する言葉の選び方、役者の個性と台詞の相性など、省みる点がいくつもありました。次に同じような機会があるかわかりませんが、きっと将来役に立つ貴重な経験だったと思います。
演奏会に来ていただいた方には、Rosco Motion Orchestraに演奏していただいた私の小説「センチメンタル（短編集）」のテーマ曲集をプレゼントしました。演奏会ではこの中の「花壇のアトリエ」を演奏したので、ご自宅でも今回の雰囲気を思い出していただけたらと思います。
最後に改めて、ご来場いただいた皆さん、Rosco Motion Orchestraの皆さん、佐藤もとむさん、会場を提供していただいたキリガヤさん、逗子アートフェスティバルの運営者の方々、ビジュアルを担当していただいた隈部さん、そして逗子の街に御礼申し上げます。素敵な時間を共有させていただき、本当に有難うございました。
尚、１１月２９日（日）にRosco Motion Orchestraの単独ライブがあります。総勢１１名が織りなす素敵な曲の数々をぜひお楽しみください。私も観客のひとりとして、ぜひ遊びに行きたいと思っています。
ROSCO MOTION ORCHESTRA「Instrumental Live vol.8」
