年越しに訪れたピアモントをもう少し紹介したいと思います。ピアモントはマンハッタンから車で45分ほどの距離にある小さな街です。
Piermont(ピアモント)は名前の通り、Pier(埠頭)があります。街の真ん中あたりからハドソン川をまたぐように、街路樹に囲まれた道が伸びています。
この辺りのハドソン川は最も川幅が広く、多くの船が行き来していたそうです。第二次大戦中は130万人という数の兵士が欧州戦線へ向けて、ここから旅立ったそうです。そのような理由からピアモントには第二次大戦にまつわるモニュメントが多く、かがり火などのメモリアルイベントも行なわれているそうです。
現在は釣りを楽しむ人々やカモメや水鳥が佇むのみで、とても静かな場所となっています。遠くにはどこか懐かしさを感じさせる構造のTappan Zee Bridgeが見え、なんだかしんみりした気持ちになってきます。多くの人々がマンハッタンを目指し、この橋を渡って行ったことでしょう。
街の中心部はレストランを中心として、様々なお店が軒を連ねています。その中でもBunbury’s Coffee Shopは、このエリアを走るバイカーたちの憩いの場になるなど、多くの人々に親しまれているようです。店内は地元の人々がのんびり本を読んだり、おしゃべりしながらくつろいでいます。私が訪れた時は、高校生らしき女の子たちが何人かいて、楽しそうに語り合っていました。
そのすぐ隣にあるLizzie’s(2018年現在閉店)は、朝食を食べるのにもってこいの場所です。卵を使った様々な朝食メニューが揃っています。
おそらくオーナーである少しグラマラスな女性が明るくオーダーを取ってくれました。彼女が目当てかどうかわかりませんが、店内は地元の男性陣に人気のようでした。朝食の味も店内もオーセンティックな雰囲気で、ピアモントらしいレストランのひとつです。
マンハッタンに比べれば店舗の少ないピアモントですが、夕食のチョイスには困りません。数あるレストランのひとつである2 Kings Pizzaというピザ屋は宿泊先のホストの旦那様が勧めてくれました。さすがにピザの味は格別なのですが、スモールサイズでもお腹いっぱいになるほどの量でした。
店内の雰囲気もいたって普通の装飾ですが、マンハッタンの最先端のお洒落なものと比べて自然で、アメリカ本来ののんびりとした雰囲気を満喫できます。
ピアモントはメキシカンだって食べることができます。このTequila Saly Limonは私の好きなサボテンサラダやカカオソースのモーレも揃っている本格的なお店で、とても満足感を与えてくれました。マルゲリータもテキーラがキリッと効いていて、心地よく酔うことができました。
これらのお店が集う通りは夜になると灯りがともり、こじんまりとしていながらも気持ちをホッとさせてくれます。おそらく一週間ほどあればすべてのレストランの味を楽しむことができるのでしょうが、旅行というものはいじわるで、同じ場所に留まることを許してくれません。だからこそ旅行は、名残惜しい気持ちがわくのでしょうね。
最後に紹介するのは私の一押しで、Canzona’s Marketというグロサリーストアです。こちらの店主の一家はとても明るく人懐っこくて、日本から訪れた私に色々と質問してきました。息子さんは中国語を学んでいるらしいのですが、おかみさんたちは彼が喋っているところを見たことがなく、私が彼と中国語で会話をすると「本当に喋れるんだ!」と喜んでいました。
このストアで販売しているサンドイッチが格別で、ピアモントに訪れた際はぜひ食べていただきたい一品です。スープも本当に美味しく、トラックの運転手や地元の人々に愛されているのもうなずけます。このストアは訪れる人を家族として迎えてくれるようなあたたかさがあり、私も必ずもう一度訪れたいと思いました。
ちなみに、このお店オリジナルのTシャツがあったので、自分用のお土産として購入しました。在庫はアメリカの特大サイズばかりだったので、普通のサイズを一所懸命になって探し出してくれました
ピアモントはマンハッタンのPort Authority Bus Terminalからバスに乗って約1時間、10ドル50セントほどでたどり着くことができます。温もりを感じる人々と街並み、ハドソン川と州立公園の豊かな自然は、コンクリートだらけのニューヨークとは違った感動を与えてくれると思います。
皆さんもニューヨークに旅行する機会がありましたら、ピアモントを旅のプランに加えてみてはいかがでしょうか。