梅雨の季節に

肌に触れる空気が次第に湿気を帯びてきて、いよいよ梅雨も本格化しそうな気配です。晴れ間が覗いても、それは春のうららかなものから夏の厳しいものへと変化しつつあります。

東京都文京区大塚 護国寺:アジサイ

私は季節の中で夏がいちばん好きだったのですが、それ以外の季節も愛しく感じるようになりました。冬の朝は相変わらず苦手なのですが、四季を楽しむうえではそれもまた趣のあるものと感じています。

梅雨もじめじめとしたうっとうしさを考えれば憂鬱にはなりますが、水の恵みに草木だけでなく野鳥たちも喜んでいるようで、散歩をしている最中に道端に足を止めて、それらを観察することもしばしばです。

東京都文京区大塚 護国寺:アジサイ

中でも紫陽花は近年様々な品種が出回っていて、個性豊かな花たちが私たちの目を楽しませてくれます。また「街じゅうにこんなに植えられているのか」と咲いた花を見て改めて気付くことがあります。昔はもっと数が少なかったように思いますが、今では家々の軒先や街路樹の下にたくさん植えられている気がします。

少々残念なのが、最近はカタツムリを見かける機会が少なくなったことです。私の目線が高くなったこともありますが、都市化が進んで農地などが減っているからだとか、ナメクジが繁殖してカタツムリの住処が少なくなったからだと言われています。私個人的には、マンションの緑地や生垣などがきちんと整備されるようになって、カタツムリの好む枯れ葉が堆積した場所が見えにくくなっているからとも思います。

東京都中央区佃 住吉神社:アジサイ

これらのようなものだけでなく、雨に濡れる風景も梅雨の醍醐味といえます。渇いたコンクリートや石垣が雨に濡れて色が鈍く変化する様や、雨雫を受け止めながら静かに身体を揺らす木々を見ていると、なんだか妙に心が落ち着きます。
雨の中でも健気に電線に捕まるツバメやハクセキレイ、神社であくびをしながら雨宿りをする野良猫、たまに遠くで轟く雷の音。どれも懐かしいような新鮮なような、不思議な気持ちにさせます。

「今日は雨だから出かけるのはよそう」と、ついつい思いがちですが、思い切って外に出てみると、意外に良いものです。

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