今なお人気の高いスニーカー。最近は私たちが若かった頃に流行ったスニーカーが次々と復刻されていて、すべて手に入れたくなる衝動に駆られます。
私たちの世代のいちばん憧れのスニーカーは、なんといってもAir Jordan Iでした。マイケル・ジョーダンの現役時代のプレーを友人宅にひいていた衛星放送で観ながら、伝説的な逸話の詰まったシリーズ最初のこのスニーカーに憧れを抱いたものでした。
オリジナルの発売は1984年、それから10周年を記念して1994年に復刻、2001年、2013年、2015年以降にも様々なバリエーションやディティールの変更を行ないながら度々復刻しています。
特に人気なのはオリジナルの通称「Chicago」、1985年に発売した赤黒バリエーションの「Bred」です。復刻版といえども現在も人気が高く、多少痛んでいても中古で高値で取引されています。
さて、私の所有するAir Jordan Iも、この「Chicago」と「Bred」が中心です。新品同様の1994年復刻のものもありますが、お気に入りはなんといってもボロボロのオリジナルです。
私の世代は古着の流行った時代を経験しているので、新品よりも味わい深い中古の風合いに惹かれます。さらに、ボロボロのほうが汚れを気にせず好きなだけ履くことができるのが魅力です。Air Jordan Iは古い時代のものなので、ソールがゴムなどシンプルな構造になっています。
現在のスニーカーのようにウレタン素材のソールだと、経年変化で加水分解を起こして形を留めることができずに崩れ去り、履くことができなくなってしまいますが、Air Jordan Iなら気にせず履き続けることができます。
それでも30年以上前のプロダクトなので、各所が痛んで履くことができないものもあります。したがって、自分で修理をすることになるのですが、手間暇かけて復活させることも楽しみのひとつとなります。
こちらの「Bred」もソールに大きな穴があいていたので、自分で修理しました。まず、インソール側からウエットスーツなどに用いられる防水ゴムシートをはめ込みます。そして、穴とゴムの間に難接着剤料用の「セメダインプラスチックステンレス」という接着剤を厚めに塗り、接着とパテとして使用します。しばらくすると固まりますが、少しベタベタするので、ソール補修剤の「Shoe Goo」などでカバーします。
特に「セメダインプラスチックステンレス」はおすすめです。柔軟性と強度があるので、雨で穴から水が染み込むこともなく完璧に仕上げてくれます。
以前、ニューヨークに行った際に「Chicago」を履いて歩いていたら、Whole Foods Marketの店員の青年に「’84? ’94?」と話しかけられたことがありました。いきなりだったので何のことかさっぱりわからなかったのですが、彼が私の足元に指をさしたので理解できました。
「’84だよ」と答えると、彼は満面の笑顔で親指を突き出しました。
愛着のあるスニーカーが、さらに思い出深くなっていく過程を楽しむのは、とても嬉しいものです。あと30年は履き続けることができるように、これからも修理に勤しみたいと思います。