お盆の季節

八月も初旬から中旬へ差しかかろうとしています。お盆とともに終戦の記憶が色濃くあらわれ、死者に対して深く考える時期でもあります。

東京都足立区足立 荒川千住新橋緑地:モンシロチョウ

目の前を通り過ぎる眩しい季節の輝きに、ふと死者への思いが重なります。これまで旅立った、もしくは別れるであろう家族や友人、そして大切な人を失った知人のことなどを思います。それから人間ではない生き物たち、とりわけ私は一緒に暮らしてきた猫たちのことも思い出します。彼らは一体、どこへいったのでしょうか。

東京都足立区足立 荒川千住新橋緑地:積乱雲

私は自分自身が生まれ変わることはないと思っていますが、自分以外の人々や生き物はどこかで生まれ変わっているのではないかと思うことがあります。太陽に向かって背を伸ばす花々や、それを取り囲む蝶や虫たち、空を羽ばたく鳥たちなどを見ていると、きっと私のそばにいた誰かが生まれ変わった姿なのではないかと感じます。たとえそうだとしても、もうお互いの過去の関係を見いだすことができないのだと思うと、生きていたときの関係がとても尊いもののように思えてなりません。

東京都台東区上野公園 不忍池:蓮

大切な人を失った人々は大きな喪失感を味わいながら、今も懸命に日々を過ごしていると思います。苦しみながら悲しみながら、克服しようとしていると思います。しかしながら、人生の大概の問題は克服できることなんて数少ないと思います。問題に対する解決方法も仕事や学業ではたくさん存在するかもしれませんが、感情にまつわる諸問題に関して決まった方法があるとは思えません。

東京都足立区足立 荒川千住新橋緑地

ですから、楽な気持ちになれるように自分自身のやり方で、それなりにやっていくことが大事だと思います。全てを焦らずに、こうしなくちゃ駄目だと決めつけずに、迷いながらやっていくことが肝要だと思います。

東京都台東区上野公園 不忍池:蓮

私はお盆の季節に緑を眺め、空を仰ぎ、額に汗しながらぼうっと思いを巡らすことで、別れた人々への気持ちに折り合いをつけるようにしています。それは決して他の人々に克服を促す方法でもなく、また私自身も克服できるとも思っていません。

ゆっくりと焦らず、逆に迷ってもうろたえてもいいので、自分なりに死者と向き合っていくべきなのだと思っています。

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