雑司が谷の御会式

つい先日、上野の不忍池で私のお気に入りのキンクロハジロという水鳥を見ました。春に飛び立ってから久しぶりの再会に、季節が過ぎていることを実感します。

東京都豊島区雑司が谷 鬼子母神堂:御会式

秋はお祭りの季節です。「お祭りといえば夏」と思う方も多いのではないかと思いますが、実際のところは一年中開催しています。夏はお盆に関連したお祭りが多く、春と秋は神社の例大祭が集中しており、とりわけ秋は収穫を祝う農耕民族の日本人の特性として祭りが多く開催されています。

東京都豊島区雑司が谷 鬼子母神堂:御会式

写真は神社ではなく、雑司が谷の鬼子母神の御会式(おえしき)です。宗祖日蓮聖人の忌日(きにち)法会で、雑司が谷一帯の最大規模のお祭りでもあります。

東京都豊島区雑司が谷 鬼子母神堂:御会式

以前、私の勤める会社のオフィスが明治通りを挟んだ鬼子母神の向かい側にあり、御会式になると万燈練供養の太鼓が響き渡って仕事にならないほどの賑わいを見せていました。今年も威勢の良さは相変わらずで、掲げ纏(まとい)と共に日没の早い境内一帯を美しい万燈が照らしていました。

東京都豊島区雑司が谷 鬼子母神堂:御会式

それにしても雑司が谷は、一年を通してお祭りの多い地域だと感じさせます。また、地域の人々も一体となり、伝統を守り続けているなと思います。すぐ隣は池袋という繁華街もありながら、それに流されることなく自分たちのペースを守っているように感じます。副都心線ができてから変わってしまうのかと思いましたが、それは思い過ごしであったのかもしれません。

東京都豊島区雑司が谷 鬼子母神堂:御会式

私の母は雑司が谷で育ち、私自身は小学生の頃から散歩しながら愛してきた場所でした。一人暮らしをしているときはすぐ隣の茗荷谷に住んでいたので、やはり多く足を運んだ場所でもあります。現在でも縁があって頻繁に訪れますし、きっとこの先も同じだと思っています。

東京都豊島区雑司が谷 鬼子母神堂:御会式

雑司が谷は仏教、神道、キリスト教と、それぞれの宗教に縁深い街でもあります。そして、それらをあまり深刻に考えず、親しみを持って受け入れている街でもあるように思います。日本の曖昧な宗教観として批判されることはあるかもわかりませんが、一番平和的で、私としてもしっくりきます。

東京都豊島区雑司が谷 鬼子母神堂:御会式

これからも日本風俗の伝統であり続け、そして良き日本のあるべき姿として続いていってほしいと思います。

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