猛暑と生命

気がついたら梅雨も明けてしまい、皮膚を焦がすほど暑い日が続いています。冬は生命にとって過酷な季節ですが、夏も同様のようです。

コウホネの花

植物にとって太陽の光は生命活動に欠かせないものです。六月にはベランダの睡蓮鉢に植えてあるコウホネにも花が咲きました。また、別の水鉢の睡蓮も一年越しにようやく花が咲き、水中を漂うアナカリスも七月に入って次々と小さな花を咲かせています。

アナカリスの花

植物の種類は様々ですが、梅雨の時期に花を咲かせるものは多いように感じます。もちろん春のほうが数が多いのでしょうが、花の大きさでいえば梅雨から夏にかけての時期が最も大きいように感じます。

しかしながら、今年の都心近辺は雨が少なく、代わりに猛暑の日が続いていました。この時期にたっぷりと水を吸うはずの植物たちは、少々ばてているように思います。特に小さな鉢に植えられたものは、水の乾きが早いので油断をするとたちまち弱ってしまいます。

ヒシモドキ、ヒメダカ、ミナミヌマエビ

水鉢で生活するメダカたちにとっても、過酷な環境のようです。メダカはかなりの高温にも耐えられますが、適温は二十六度前後です。浮き草などを浮かべたり、簾(すだれ)などで影を作ってあげないとばててしまいますし、熱さで水の質も悪くなってしまいます。ミナミヌマエビやヒメタニシたちも、これから死んでしまうものも出てくるでしょう。

東京都荒川区東尾久:猫

猫たちも同様に、ぐったりしています。子猫などは体力もないのでいきなり命を落としてしまうことが多いです。冬の寒さに比べればまだましではありますが、夏は過酷な環境であると思います。

たった上下二十度範囲で生き死にが左右される生き物というのは、なんてはかないものなのでしょう。毎年変わる微妙な揺らぎによって、美しい花を咲かせることもあれば、朽ちてしまうこともあります。しかしながらこんなか弱いものなのに、生命を三十八億年も紡いできたというのは驚きです。小さな植物や動物たちがときどき垣間見せる、生きようとする姿勢を目の当たりにすると、その長い年月を実感できるような気がしてきます。

クマヤナギ

人間である私も、きっとその生命の鎖の一部なのかもしれません。彼らとそのようにして結びついていると思うと、とても幸せな気がしてきます。

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