仕事にかまけているうちに、あっという間に八月になってしまいました。二十四節気ではすでに立秋を迎えています。
立秋は夏至と秋分の真ん中にあり、八月七日から二十二日までを指します。この頃から秋の気配が感じられるといわれていますが、夏真っ盛りで違和感を覚える人も多いことでしょう。二十四節気は中国由来なので、気候の異なる日本では少し気が早い名称のように感じます。
しかしながら、夏がぐんぐんと進み、帰省や旅行などで休みを満喫していると、ふとコスモスや赤とんぼの群れを目にしたりして夏に陰りを感じます。また、夏の風物詩ともいえる全国高校野球を観ていると、決勝に進むにつれて「夏が終わってしまうんだな」と感じることがあります。ちなみに全国高校野球の日程は、ちょうど立秋と同じ期間の八月七日から二十二日までです。
立秋はお盆休みの時期でもあり、広島や長崎の原爆や終戦記念日などもあって、太平洋戦争を思い出す時期でもあります。子どもたちからすると夏休みの最中であり、夏を意識することがとても多い時期です。
自然のなかでは明らかに夏の綻びが見え始めます。古今和歌集では藤原敏行が「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(秋が来たといってもはっきり見えないが、風の音で秋が来たと気付かされた)と詠んでいますが、その感覚は現代に生きる私たちのなかにもあるように思います。
暑さばかりに気を取られてしまうと、そのような繊細な感覚を見過ごしてしまって少々もったいないなと思います。しかしながら、仕事にかまけて暑さも時間も感じないまま過ごしてしまうことのほうがよりもったいないなと思います。今年の私はそんな傾向があるので、気をつけたいと思います。