秋の充足

秋は深まり、冬の気配も日に日に近づいているような気がします。寒さを前にすると、季節を飛び越して早く春よ来てくれと思ってしまいますが、厳しい寒さがあるからこそ暖かさのありがたみが分かるのでしょうし、この季節特有の美しさが気持ちを和らげてくれます。

東京都豊島区雑司が谷:雑司ヶ谷霊園

雑司ヶ谷墓地の木々も様々な色に染まって青空に美しく映えています。夏のむせかえるような緑色も好きですが、紅葉のはっきりとした美しさも好きです。
季節を映画フィルムのシークエンスのように何周も繋げて見ていると、新たな発見があります。例えば、ある木は毎年豊かな赤い実を付けると思っていたら、お休みする一年があって次の年に実を付けます。雑草の勢力も少しずつ異なったりしますし、自分自身が興味を惹かれるものも異なっていたりと、様々な発見があって眺めているだけで飽きないです。

東京都豊島区雑司が谷:猫

また、目に映るものが昨年と変わっていなくても、世代交代をしていたりして個々に同じものは存在しません。たとえ同じ個体だったとしても、日の光や季節の変化によって見え方は異なりますし、新陳代謝を繰り返して常に変化をしています。不思議なのは、変わっているように見えても変わっていなかったり、変わっていているように見えても変わっていなかったりすることがとても興味深くもありますし、安心したりもします。

このようなことを感じたり考えたりする時に私はとても幸福を感じます。
これが平凡であることの喜びであり、その喜びは非凡であるとも感じます。
秋はそのように考えを巡らす季節であり、なんとも言えぬ充足感があります。

今現在や将来の不安はいつでも自分の周りを取り巻いていますが、変わらぬ季節のサイクルと自然が付いていてくれれば、拭い去ることもできるのではないかと思えてきます。

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