渡り鳥とキンクロハジロ

いよいよ二十四節気は大雪(たいせつ)を迎え、街路樹も葉を落とす季節となりました。水鳥たちも渡ってきて、野鳥探索をするには絶好の時期です。

東京都台東区池之端不忍池:オオバン

上野の不忍池に茂っていた蓮も一斉に朽ち果て、冬の風景が広がっています。この週末は快晴が広がってとても気持ちのよい陽気でした。

東京都台東区池之端:不忍池

不忍池は渡り鳥たちにとって重要な安息地となります。渡りをしない留鳥のカルガモやオオバンなどもいますが、オナガガモのように北の地からはるばるやってくる渡り鳥もいます。河川などにも多く飛来しますが、不忍池のような広い場所は鳥たちにとって貴重な場所です。

東京都台東区池之端不忍池:オナガガモ

ぐるりと池を回っていくとカワウの姿も目に付きます。カワウは留鳥で不忍池に多く生息しますが、杭の上で翼を広げる姿は人々の目に止まり、ソーシャルメディアに投稿するには格好の被写体です。彼らは群れはコロニーとなる樹木に多くの糞を落として枯渇させるので、大きな問題となっています。これは人間が何も考えないまま餌となる鯉を放流したことによって個体数が増えた結果です。

東京都台東区池之端不忍池:カワウ

さて今回、不忍池に来た目的はキンクロハジロに会うことです。キンクロハジロは渡り鳥で冬にならないと会えないのですが、他のカモと比べて容姿や表情が滑稽で可愛らしく、私のお気に入りの野鳥です。

東京都台東区池之端不忍池:キンクロハジロ

瞳孔が猫のように小さくて、それが滑稽さを助長させているように思います。無表情でゆらゆらと水面を漂っているかと思うといきなりスピードをつけて直進したり、さらにそれを追いかける何匹がいたり、いきなり止まって再びゆらゆら漂うものがいたり、見ていて飽きません。

東京都台東区池之端不忍池:キンクロハジロ

瞳が似ているからなのか、それとも予想がつかない天邪鬼(あまのじゃく)そうな行動が似ているからなのか、キンクロハジロは私の好きな猫のようにも見えてきます。カルガモのような黒目の多い他の種類のカモは、どこか犬に似ているような気もします。どちらにしても可愛い容姿ながら、何百キロも遠い場所から繁殖や生存のために旅をする渡り鳥たちはたくましく、尊敬の対象でもあります。

東京都台東区池之端不忍池:キンクロハジロ

キンクロハジロは他の渡り鳥と同様に、毎年冬に姿を現して春がくると去っていきます。彼らとの出会いと別れは、季節の巡りと過ぎ去る時の流れを感じさせ、見つめていると少ししんみりとしてきます。

東京都台東区池之端:不忍池

このような素敵な出会いがいつまでも続くように、不忍池はいつまでも現在の姿をとどめていてほしいと思っています。

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