自分のいた上海、いない上海

今週月曜の深夜から羽田を立ち、上海へ行ってきました。出張としては久しぶりだったのですが、日々変化する街の様子にワクワクする反面、どこか寂しい気持ちにもなりました。

China, Shanghai: Cat

上海のホテルに着いたのは、そろそろ午前五時を回ろうかという時間でした。二時間ほど睡眠を取ってすぐにオフィスに向かい仕事をして、翌日の午後七時の便で帰国してきました。東京の家に到着したときは午前零時を過ぎていました。
とても短い出張時間でありながら、打ち合わせも多くて休む暇もありませんでした。さらに睡眠不足も重なって、朦朧としながら過ごした二日間でした。

それでも街の中を歩いていると、何年か過ごした時間が蘇ってくるようでした。オフィスがある南京西路、顧客との打ち合わせに向かうために乗った地下鉄、顧客のオフィスが入る瑞金大厦というビルなど、どれも懐かしい光景でした。しかしながら、工事中だった一角に新しいビルが建ち、地下鉄も新しい路線が増え、以前にあった店がなくなっていて、私の知らない上海がそこにありました。

China, Shanghai: Cat

さらにはIT化が進んでスマートフォンで何もかも決済できるようになっていました。物を買うのはもちろん、自動販売機のようなものからスマートフォンの充電器を借りることができたり、自転車もスマートフォンをかざせば乗ることができます(外国人には少々難易度が高いのですが)。日本やサンフランシスコなどでも同じようなサービスはありますが、中国の場合は指定の駐輪場で借りるのではなく、路上に乗り捨てられている自転車に自由に乗って、使い終わったら自分も乗り捨てられるというものです。

私が住んでいたころの上海も日進月歩で移り変わりは激しかったのですが、さらに加速しているような気がしました。やっぱり自分の知っていたころの上海の方が好きなのですが、愛着だけでなく自分が周りのスピードに追いつけなくなった証拠なのだと感じました。
さらに、仲の良かった人たちも散り散りになり、私も日本に深く根をおろすようになりました。どこか寂しさを感じますが、このような寂しさを払拭には、常に自分自身が前に突き進んでいかないと駄目なのでしょう。

China, Shanghai

ふと街の隅を見ると、ジャスミンの花の蕾に針金を通して装飾具に仕立てて販売しているお婆さんの姿を見かけました。これは私が住んでいたころにもあった路上販売の定番なのですが、とても懐かしい気がしました。路上で煙草を燻らし談笑するおじさんたちや、壊れた券売機なども健在です。
以前から注目されることない人や物たちではありますが、彼らを見て少し安心するのは、やはり私が時代に取り残されつつある証拠でしょうか。

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