他者からの承認

人間には様々な欲があると言われています。宗教で定義されるもの、哲学の観点から分類されるものまで様々です。マズローの欲求段階説の5段階の欲求などは有名ですね。

コサギ

マズローが分類した欲求はピラミッド状に積み重なっており、1階層目の欲求が満たされると2階層目に至るとされています。例えば、食事や睡眠など生命維持に欠かせない「生理の欲求」が満たされると、健康や経済的な安定を求める「安全の欲求」を持つようになる、といった感じです。
「生理の欲求」、「安全の欲求」、「社会欲求と愛の欲求」、「承認の欲求」、そして最上段には「自己実現の欲求」が積み重なっています。

最近では「承認の欲求」を漂っている人々をよく目にします。SNSで写真を上げたりすることは、多くの人から注目されたいという「承認の欲求」が働いている良い例だと思います。生命活動や社会保障が十分に満たされている現代の日本の環境がそうさせているのかもしれません。中には、自分が社会に受け容れられたいと思う3階層目の「社会欲求と愛の欲求」をすっ飛ばしてこの欲求を満たそうとする人もいます。

また承認の欲求は、ふたつに分類されるそうです。ひとつは「他者からの承認」によるもので、もうひとつは「自分自身による承認」です。「他者」は「自分自身」よりも低いレベルの承認であり、通常は「他者」を満たさないと「自分自身」の承認に至りません。
中には他者からの評価を気にすることなく自己実現に至る人もいます。生きていくうちに段々と他者からの評価がどのくらいか自身で客観視するようになり、諦めを伴いながらも納得します。実際周りを見渡してみると、このような人々が大半のようにも感じます。

さて、自分自身を認められる段階まで登り詰めたら、あとは「自己実現の欲求」を残すのみです。この段階に行き着くためには、なるべく下階層の時に大きな欲求を満たそうとしないほうが辿り着きやすいものですが、「他者からの承認」を多く得ないと辿り着けない人々がいます。例えば、芸能を志す人やスポーツ選手、政治家や会社の経営者などです。
これらの人々は、もちろん他者からの評価など関係なく、自分のやりたいことを突き詰めればいいのですが、やはり同業者と比較され順位をつけられてしまいます。他者の評価が自分自身の評価と同じように感じてしまい、他者に打ち勝たないかぎり「自己実現の欲求」に辿り着くことはできません。また、他者からの大規模な支持を得られないと自分のやりたいことが実現できない場合もあります。

私や多くの友人たちも芸術やデザイン関係の人間なので、この部類の人間に属します。従って「他者からの承認」という欲求の階層をなかなか克服できないでいます。ようやく最近になって、異なる視点から自分自身の価値を見出せるようになりました。

最近、動画サイトで活躍するお笑い芸人が好きになって、彼の映像をよく視聴しているのですが、なかなかメジャーになれずに苦悩している姿も目にします。芸人は特に「他者からの承認」が自己実現のために必要なものなので、何とかブレイクしてほしいなと思いながら、マズローの欲求段階説を思い出した次第です。

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