国会前庭にて

日陰にいると初夏の涼やかな温度が心地よく感じられますが、日向に出ると真夏かと思うくらいの暑さとなりました。先週の日曜日に銀座に行く用事がありましたが、よい陽気だったので永田町で降りて散歩をしました。

東京都千代田区永田町:国会前庭 北庭

いつも永田町から銀座までは皇居の桜田濠の縁に沿って歩いていましたが、今回は国会議事堂側を歩くことにしました。国会議事堂の前には国会前庭と呼ばれる公園があります。
国会前庭は洋式庭園である北庭と和式庭園である南庭に分けられています。

東京都千代田区永田町:国会前庭 憲政記念館

北庭には「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄の業績を称えて開館した憲政記念館があります。調べてみると1960年に尾崎記念会館として竣工した建物だそうで、モダンな雰囲気が素敵です。最近、こういった趣きの建物が少なくなっていますね。

東京都千代田区永田町:国会前庭 憲政記念館

尾崎行雄は当選回数や議員としての勤続年数など、複数の日本記録を持っていることで称えられているそうなのですが、正直ここに訪れて初めて知りました。銅像の帽子を手に持った姿が親しみを感じます。時間のあるときにあらためて訪れてみようと思っています。

東京都千代田区永田町:国会前庭 北庭

北庭を少し進むと時計塔があります。三権分立(立法・行政・司法)を象徴する三本の柱で構成されていますが、こちらもモダンなデザインで素敵です。

東京都千代田区永田町:国会前庭 北庭 日本水準原点標庫

北庭には日本の水準測量の基準点となる日本水準原点があります。日本水準原点標庫と呼ばれる建物の中にあるそうですが、中は見ることができません。水準原点の標高は変わることがないとされていましたが、関東大震災や東日本大震災によって変化したそうです。ひっそりとした佇まいがいいですね。

東京都千代田区永田町:国会前庭 北庭

北庭の魅力のひとつは高台から望む皇居と霞ヶ関、日比谷方面の景色です。晴れた日は皇居の緑が美しく、空も広々としています。散歩している人たちはほとんどが桜田濠沿いを歩いているので、この素晴らしい景色を見れないのだと思うとちょっぴり優越感にひたれます。

東京都千代田区永田町:国会前庭 北庭

ちなみに、休憩所にある手洗い場には素敵なタイル画があります。張り紙を見ると「銀杏の果肉の洗浄は行わないでください」と書かれています。銀杏を追い求める人たちの執念を感じ、公園管理者の方々には悪いのですがちょっと微笑んでしまいます。

東京都千代田区永田町:国会前庭 南庭

南庭に入ると和式庭園が広がります。北庭と同様に多くの種類の草木が植わっており、池も美しく整備されています。ベンチに座ってぼうっと本を読んだり、物思いにふけたりしたら素敵な時間を過ごすことができそうです。

東京都千代田区永田町:国会前庭 南庭 ハス

池には蓮の花が咲いていました。大きくて目立つ色ですが、どことなく控えめな印象で、見ていると穏やかな気分になってきます。

東京都千代田区永田町:国会前庭 南庭 アオスジアゲハとトベラ

トベラは満開の花を咲かせていました。よく見る植物でも名前がわからないことが多いのですが、きちんと名札がふられているので助かります。雑司ヶ谷霊園や荒川土手だと自分で名前を調べる楽しみもありますが、名札があるとやっぱりわかりやすいですね。アオスジアゲハが一所懸命に蜜を吸っていました。

東京都千代田区永田町:国会前庭 南庭 シャリンバイ

そろそろ終わりかけですが、シャリンバイも満開です。バラ科なので桜や梅に似た花弁が可愛らしいです。こういった目立たない植物をひとつひとつ眺めていると、とても贅沢だなと思ってしまいます。

東京都千代田区日比谷公園:オクトーバーフェスト

国会前庭を出て、霞ヶ関を抜けると日比谷公園です。この日はオクトーバーフェストが開催されていて、お洒落をした若い人で賑わっていました。日比谷公園まで来ると途端に騒がしくなります。東京ではこれが当たり前なのですが、国会前庭は本当に人が少なく、超穴場で気に入りました。

東京都千代田区永田町:国会前庭 北庭

私は都会のど真ん中にある静かな場所というのは、とても東京らしいなと感じます。人間は日々の忙しさに追われるだけでなく、暮らしている場所をゆっくり見つめ、自分自身を投影させる時間が必要なように思います。青山霊園もそうですが、高層ビルなど慌ただしい風景が遠くにあることによって東京の日常を俯瞰的に眺めることができます。こういった環境に身を置くと東京にいるのだなとあらためて感じさせてくれるのだと思います。

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