神津島で過ごす

三回ほど続いた神津島のお話も今回で最後にしたいと思います。前回のコラム「神津島と東海汽船」、「神津島の山」、「神津島の海」へは、こちらのリンクからどうぞ。

東京都神津島:神津島港

神津島は海や山だけでなく、たくさんの魅力にあふれています。今回はなるべく多く紹介したいので、写真も多めになってしまいましたのでご容赦ください。まずは、食べ物について紹介していきます。

東京都神津島:Cafe’ & Diner `AILANA

神津島に着いたのは午前九時でしたが、前日に飲み過ぎたこともあり午前中は旅館で休んでいました。お昼に意を決して出かけ、昼食をとることにしました。

こちらは「Cafe’ & Diner `AILANA」というお店で、ハンバーガーやステーキが食べられるハワイアンダイナーです。ボリュームのある100%ビーフはジューシーでとってもおいしかったです。神津島は魚介系の料理店が多いので、若い観光客はもちろん、地元の方々にも歓迎されているのではないでしょうか。

東京都神津島:山下旅館別館の夕食(金目鯛)

海を見ながら食べるハンバーガーは格別でしたが、やはり神津島に来たら金目鯛を食べなくては帰れません。現在、神津島では金目鯛の漁が盛んで、多くの旅館やレストランで食べることができます。特に煮付けは最高のおいしさです。神津島で獲った金目鯛は「地金目」といって脂が乗って味も濃く、ブランド化されているそうです。

東京都神津島:よっちゃーれセンター(金目鯛)

神津島港のよっちゃーれセンターではおみやげとして干物などを購入することができます。また、ここの二階では金目鯛の定食を格安で食べることができるので、日帰りの方もぜひ利用してみるといいですよ。

東京都神津島:山下旅館別館の朝食(鯵の開き)

旅館では金目鯛以外にも新鮮な魚介料理を堪能したのですが、個人的に大好きなのが朝食に出るアジの開きです。アジは日本各地でおいしいものが獲れますが、正直どこのものでもかまいません。この先、同じ料理しか食べられないとしたら迷わずアジの開きと答え、できれば白米とお味噌汁、納豆をつけてくれれば言うことありません。とりわけ旅館で食べるアジの開きは最高で、普段は朝食は食べないにもかかわらず、ご飯を何杯もお代わりしてしまいます。

東京都神津島:明日葉

伊豆諸島の名産としては、明日葉も有名です。ひと昔前は金目鯛の漁は盛んではなかったように記憶していますので、民宿の料理は明日葉づくしでした。道を歩いているとそこかしこに生えているので、思わず採って帰りたくなりますが、ぐっとこらえます。独特の風味がよいですよね。

東京都神津島:Hyuga Brewery

食べ物のほかに気になるのは、やっぱりお酒です。神津島には「Hyuga Brewery」というクラフトビールのお店があり、ここでは明日葉のビールが飲めます。

東京都神津島:Hyuga Breweryのクラフトビール

ほかにもたくさんのオリジナルビールがあるので、飲み比べてみるといいと思います。若者や外国人の観光客に人気のおしゃれなお店で「ひと昔前の神津島だったら考えれないな」と、時代の移り変わりを実感しながら味わいました。

東京都神津島:神津島港と氷結STRONG パッションフルーツ

おみやげ屋さんの丸島土産店では、氷結STRONGの期間限定商品であるパッションフルーツが置いてありました。最近、神津島の特産品としてパッションフルーツが栽培されているようです。甘酸っぱく食感がおもしろいパッションフルーツは、一度食べると癖になりそうな味です。

東京都神津島:神津島温泉保養センター

食事とお酒ときたら、温泉です。ただし、順番を間違えると身体に悪いので、先に入るようにしましょう。ここは神津島温泉保養センターといって、屋内のほかに屋外で温泉につかることができます。

東京都神津島:神津島温泉保養センター

岩礁の上にも湯船があるので、雄大な海を見ながらのんびり温泉を楽しめます。また、海に沈む夕陽を見ることもできるので、身体だけでなく、都会に疲れた心を癒すのに最高です。

東京都神津島:山下旅館別館

さて、お風呂といえば、今回泊まった山下旅館別館の客室風呂に描かれた天上山の絵がレトロでよい雰囲気を醸していました。

東京都神津島:山下旅館別館

山下旅館別館は神津島港のすぐ近くにあり、どこに行くにも便利なロケーションです。部屋からの景色も海を一望でき、新鮮な魚介類をふんだんに使った料理も素晴らしかったです。温泉がある唯一の旅館です。

東京都神津島:山下旅館別館

そしてなにより、昭和テイスト漂うレトロな建物が気に入りました。子どもの頃に泊まったような温泉旅館の雰囲気が残っていて、とても懐かしい気持ちになりました。旅館の方々も気さくで優しかったです。

東京都神津島

神津島は豊かな自然に囲まれながらも、魅力的なお店や施設が集まる素敵な島です。過去に一度訪れたときには住みたいと真剣に思ったほどです。

東京都神津島:ハイビスカス

南国の雰囲気を漂わせながらも、三浦半島や伊豆のような雰囲気もあります。住所が東京都というところも親近感があります。今はインターネットや通販が発達したので、以前より住みやすくなったのではないでしょうか。

東京都神津島:猫

猫ものんびりと日陰で過ごしていて、自由な空気が流れています。彼らは一日どのように過ごしているのでしょうか。

東京都神津島:物忌奈命神社

猫といえば、神津島港の正面に鎮座する物忌奈命神社にも黒い猫がいました。物忌奈命神社は神津島の鎮守で、物忌奈命は、伊豆諸島を治めていた三島大社の「事代主神(ことしろぬし)」の長男で、神津島の開祖なのだそうです。

東京都神津島:物忌奈命神社の猫

黒猫は暑いのか、手水舎に近づいて手水を飲んでいました。また、境内の木に登ったりと、気のおもむくままに行動していました。

東京都神津島:物忌奈命神社

物忌奈命神社は高台にあり、まるで港全体を見渡しているようです。地元の人々、とりわけ漁業関係の方たちの信仰が篤く、毎日魚が捧げられているとのことです。

東京都神津島:物忌奈命神社

参道の階段は急ですが、木々が影を作っていて清々しい気持ちになります。この神社は平安時代に編纂された延喜式にも記載されているそうなので、古くから多くの人々がこの階段を上ったことでしょう。

東京都神津島:神津島村の信号交差点

物忌奈命神社の参道を出ると、神津島唯一の信号がある交差点に出ます。ここはどこへ行くにも、なにをするにも起点になるので、とても思い出深い場所のひとつです。

東京都神津島:神津島港とさるびあ丸

朝になると、イソヒヨドリの美しいさえずりが聞こえ、大型船のさるびあ丸が入港する汽笛も聞こえてきます。

東京都神津島:神津島港の夕暮れ

ゆっくりと時間は流れて日は西にかたむき、次第に人々は家路につきます。このようなのんびりとした場所で青春を過ごしたら、どのような思い出が残ったのでしょう。

東京都神津島:神津島港の夕暮れ

日が暮れると美しい月が姿を現し、さらに満天の星が浮かんできます。灯りのないところへ行けば、プラネタリウムを見ているかのようです。人工衛星が移動しているのも確認できました。

東京都神津島:セブンアイランド 友

伊豆諸島には幾度か訪れていますが、私は神津島がいちばんお気に入りです。今回は二泊三日の旅でじゅうぶん時間が取れたのですが、また何度でも訪れたいと思います。

東京都神津島:セブンアイランドから神津島をのぞむ

帰りのジェット船の窓から見える神津島にちょっとだけセンチメンタルになりながらも、素晴らしい体験を与えてくれたことに感謝し、再訪を誓いました。

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