ふたたび室積へ

以前に訪れたのは、もう六年も前のことになります。山口県の室積へふたたび出かけてきました。

山口県岩国市岩国駅:山陽本線

神津島の次は、室積です。長い休養期間がそろそろ終わりそうなので、思い切って行くことを決めました。以前からこのコラムをご覧いただいている方はご存知と思いますが、室積は私の小説「パルテノぺ」の舞台のモデルになった場所です。あの小説を書いたのが2013年で、室積に最初に訪れたのも同じ年です。つまり、六年の歳月が経ったということです。時は本当に早く流れるものですね。

山口県岩国市岩国駅:山陽本線

前回訪れたときは初日快晴、最終日は台風で大雨でした。今回は初日に台風が九州に上陸するというニュースがあり、案の定新幹線が西へ進むごとに天気が怪しくなりました。しかしながら、数時間は大丈夫だろうと考えて岩国駅から錦帯橋に寄りました。ふたたび岩国駅に戻って山陽本線に乗り込むと、雨が強くなってきました。

山口県光市光駅

目的地の光駅に降り立つと、かなり強い雨と風が行く手を阻みました。バスに乗る予定でしたが、タクシーで駅から宿に向かいました。

山口県光市:室積

宿について景色を見渡すと、厚い雲が南から北へと進んでいくのがわかりました。雨は時折弱まりましたが、風は依然として強く吹き付けていました。

山口県光市:室積

翌日、台風は山口県南部をかすめながら北東の日本海へと抜けていく予報だったので、晴れることを祈りながら就寝しました。停電などあって少し心配していましたが、朝起きてカーテンをあけると雲は多いものの太陽の光が明るく海や大地を照らしていました。

山口県光市:室積

午前九時くらいになると雲が晴れて美しい空が戻ってきました。連なる海の向こうの島々もはっきり見えます。ようやく本来の室積の美しさに再会することができました。

山口県光市:室積

象鼻ヶ岬の鼻先にある室積港灯台もはっきりと見えます。小説「パルテノぺ」でも、主人公たちが向かうときは台風がやってきていました。不安に駆られながらも目的の場所に向かい、辿りついたときには晴れた美しい光景が広がるのは小説と同じです。自分の書いた物語ですが、あらためて主人公たちの気持ちがわかったような気がしました。

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