金木犀

私はまだまだ夏の気分が抜けないのですが、季節は秋の色を深めつつあります。風の匂いがどこか寂しく切ない気持ちにさせます。

金木犀

買い物に出かけたときに近所の軒先で金木犀の香りがするなと思っていたら、自宅の庭の木にも蕾ができていて、先日あっという間に開花しました。

子どものころはあまりこの花の濃厚な香りが好きではなかったのですが、年を経るごとに愛着がわいています。小さなオレンジ色の花弁も秋の夕暮れの日差しによく似合う素敵な植物です。

すこし調べてみると、日本には雄株ばかりで、原産国の中国でないと実を見られることはほとんどないそうです。それでも毎年たくさん花を咲かせる姿はいじらしくもありますね。

どの樹木にも言えることですが、金木犀は花が咲かない季節はほとんど見向きもされません。一般家庭のベランダや庭に植えてある、よくある植物のひとつでしかありません。しかしながら、一年を通して世話をしていると愛着がわいてきます。

秋になってぱっと花が付く姿は、物静かな友人が自分の魅力をまわりに主張したときのような痛快さや喜びを感じさせます。

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