年老いた身体と心

歳をとるごとに身体の自由がきかなくなり、いつしかその状態が当たり前になります。次第に心に影響しだし、人生に対して積極的に向き合おうという気持ちが薄れていきます。

東京都豊島区池袋:バラ

以前にもこのコラムで話題にしましたが、年老いた母を見ているとそのような傾向にあります。母の若いころを知っている私は、ふたたび多趣味だったころの母に戻ってほしいと思っていろいろな働きかけをしていました。そのほうが、残り少ない人生を楽しく過ごせるに違いないと思っていました。

しかしながら、身体の自由がきかなくなっている母にとっては酷なのだなと最近は思い始めています。臓器の活動が弱まり、血の巡りなども弱々しくなっていることでしょう。関節も弱まり、筋肉も衰えています。「鍛えればなんとかなる」と思えるのは身体がきちんと応えてくれる若い世代の発想で、高齢者の身体は鍛えてもなかなか強くなりません。成功体験に行き着くまでの時間が長いと、心も折れてしまうものです。

現在の私は母に積極的になれるように励ましつつも、身体のことを考えてじっくり、のんびり行こうとメッセージを送っています。彼女の残りの人生が、彼女の望むように過ごせることが子どもとしてなにより嬉しいことです。私に多大な影響を与えた母にふたたび戻ってもらいたいことは、子どものわがままであり、思い込みでしかないように思います。

今年は私の人生のなかで、いちばん母と二人三脚で歩んでいるような気がしています。とにかく健やかに残りの人生を過ごしてもらいたいと思っています。

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