曖昧な夢と現実の記憶

もうお正月から随分と経ってしまっていますが、皆さんはどのような初夢を見ましたか? 私はすでに覚えていませんが、夢はよく見るほうだと思います。

東京都豊島区雑司が谷

夢は現実か非現実かわからなくなる不思議なものです。行ったことのない場所や会ったことのない人、経験したことのない場面に遭遇しますが、何故だかとても懐かしい気持ちになることがあります。ついこの間の夢もそのようなものでした。

その夢の中ではふと思い立って、旅行の計画もなしに日本の各地へ出かけました。なんとなく新幹線に乗ったり、バスに乗ったり、ゆっくりと国道を歩いてみたり。観光地を巡ることなく、あてもなく、ただ行ったことのない場所に向かって進みます。しかしながら、地方の繁華街に到着したところで、以前にも来たことのあるカフェが近くにあることに気がつきます。

そこには以前会ったオーナーや常連客がいました。「ああ、久しぶり」なんて会話を交わすのですが、朝目覚めたときに夢だと気がつきます。思い立って日本各地に出かけることも、訪れたことのあるカフェも、最初は現実にも経験のある出来事だと思い込んでいるのですが、だんだんとそのような経験はしたことがないことに気がつきます。それならば、過去に見た夢での経験なのだと思い出すのですが、そのような記憶もないことに気がつきます。

現実でも同じようなことが起こります。歳を重ねていくと、だんだんと記憶が曖昧になって思い込みが過去を侵食します。経験した出来事を覚えていなかったり、経験していないような出来事を覚えていたり、自身の脳の衰えを実感します。こうなってくると、さらに歳を重ねた先には夢も現実もよくわからないまま記憶に残っていくのではないかと危惧しています。

それでも、最終的に楽しかった記憶さえ残れば楽しく余生を過ごせるのではないかとも思っています。歴史に名を残す人物でもないわけですし、正確である必要はありません。自身の世界の中で物語が完結し、納得できればよいのだとも思っています。

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