二月に飼っている猫の一匹がこの世を去りました。野良の子猫で幼い頃に片目を患い摘出しましたが、あまり大きな病気はなく元気に十年以上生きました。
おおよそ一ヶ月前から餌をとらなくなり、ほとんど水のみで過ごしていました。身体はみるみるうちに痩せ細っていきましたが、他界する直前まで低いテーブルに自力であがるくらい元気にしていました。
最期は段々と息が荒くなり、身体のなかの空気を吐き出すように鳴き、最愛の私の母の傍らで息を引き取りました。
私の家は昔から猫が多く、ほとんどが野良猫の出身です。そのため命の終わりに何度も立ち会っているからなのか、大きな悲しみにおそわれることはあまりありません。命が生まれること、亡くなること、それらは当たり前で等価値のように感じます。季節を吹き抜ける風のように、あるときふと肌に感じ、抜けていくような、平凡でありながら特別な出会いと別れです。
状況や対象にもよるのでしょうが、この私の死生観は猫によって培われているのだと強く感じます。おそらく今回他界した猫とは私が死んだあとに素粒子になって地球のどこかで混ざり合うことでしょう。そのときの再会を楽しみに、今は冥福を祈りたいと思います。