都電のはなし

最近は暖かい日が続きますが、そろそろ夜は本格的な冬着がほしくなってくる頃ですね。しかしながら、日中は日差しが気持ちよいので散歩に出かけたくなります。

東京都豊島区雑司が谷:千登世橋付近の都電荒川線

私は都電荒川線に縁があります。幼稚園は都電の駅を降りてすぐのところでしたし、幼少期に住んでいた地域は都電にほど近く、学生時代もよく利用していました。また、ひとり暮らしをしていた場所は大塚駅に近く、今は雑司が谷付近をうろうろしています。

都電荒川線

生活のための交通手段であり、散歩のために利用することもあります。バスとは異なるのんびりとした雰囲気は小さい頃から変わっていません。昔は車体側面を背にした席ばかりだったと思いますが、現在は進行方向(または逆方向)を向いた席がいくつか追加されました。

幼いころはよく荒川遊園地(あらかわ遊園)に都電で行きました。遊園地手前にあるプールにも頻繁に訪れて、帰りに向かいの食堂でラーメンを食べたのをよく覚えています。連れていってくれたのは父親でしたが、きらびやかなデパートのレストランに連れていく母と比べてずいぶんお粗末なものだなと不満を抱いていたものです。しかしながら、現在では庶民的な食堂のほうが愛おしく、閉業の噂を聞くと切なくなります。

都電荒川線

小学生や中学生の頃によく遊んだ王子や飛鳥山、母方の祖母が芸妓として働いていた小台(尾久町)、幼稚園の帰りに立ち寄った梶原など、ひと駅ごとに思い出がたくさんあります。雑司が谷付近は母が過ごした場所であり、私は中学生から大学の頃までよく散歩していた場所でもあります。

雑司ヶ谷霊園はもとより、鬼子母神前や学習院下あたりもよく利用しました。鬼子母神前の踏切には鶏肉専門店の豊島屋があり、焼き鳥や鰻を売っていたのを思い出します。現在その場所は道路となり、賑やかな商店街も店舗が少なくなってしまいました。この周辺は今もよく歩きますが、時代の移り変わりを実感します。

東京都豊島区雑司が谷:千登世橋付近の都電荒川線

千登世橋から見下ろす都電の風景は昔と変わらず、いつ見ても素晴らしいものです。深緑や紅葉が望遠の圧縮効果で折り重なり、とても美しいのです。目白台を散歩した帰りにその風景をのんびり眺め、自分は今後どのような人生を歩むのだろうと物思いにふけっていたのを思い出します。

都電荒川線

現在も三ノ輪橋から早稲田まで、頻繁に都電を利用しています。長い区間を利用するとそれなりの時間がかかるのですが、のんびり沿線の風景を眺めながら過ごしたいと思うこともあります。変わる景色、変わらない景色がありますが、都電だけはこの先ずっと走り続けてもらいたいと思います。

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