他者との交流

四十代も後半に差し掛かり、男性である私は見知らぬ人に話しかけるのが怖くなっています。これは私自身の問題でもありますが、中年の男性が社会的に恐れられる存在になりつつあるからです。

東京都荒川区西尾久:猫

子どもや学生、女性には滅多なことがあっても話しかけません。こちらに後ろめたいことがまったくなくても、相手を警戒させ怖がらせる恐れがあります。たとえお年寄りでも慎重にコミュニケーションを取るようにします。

話しかけることがあるのは成人の男性くらいですが、それでも妥当なシチュエーションの場合にかぎります。先日、ある生麩を生産している直売所に買い物に行ったのですが、お店に興味を持った散歩途中の高齢男性が様子を伺っていました。

彼はお店の前で店内を興味深げに覗いていたのですが、私は思い切って「ここは生麩を直売しているお店ですよ」と声をかけました。彼は「ほう」と言いながら店内をさらに覗いていたので、おすすめの商品や調理、保存方法などを説明しました。彼はひととおり聞いたあとに「ありがとう。お兄さん、親切だね」と褒めてくれました。

また、別の場所では新型コロナウイルスのワクチンを接種しに来た九十歳の男性に道を尋ねられたので、スマートフォンで場所を検索しながら接種会場まで付き添いました。その男性は深々とお辞儀してから会場に入っていきました。

このように、相手から話しかけれられたり、こちらから明らかに話しかけてもいい状況であれば交流ができるのですが、それ以外は不用意に声をかけることはできません。

見知らぬ人との交流は心を豊かにさせ、あたたかい気持ちになることが多いです。しかしながら、他者に危害を加えようとする人がいるのも事実です。信頼関係がじゅうぶんに担保されていなければ、現在の東京では交流は避けたほうがいいでしょう。

高齢者の方々は気軽に声をかけてくれますが、私がその歳になるときには他者との交流はほとんどなくなるのかもしれません。かなり寂しい気もしますが、それも致し方ないのかもしれません。

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