だんだんと暖かくなり、すっかり春めいてきました。ベランダの草木もウォーミングアップをはじめたようで、どれも褐色から緑色に変化しつつあります。
空を見上げると雲ひとつなく、陽の光が溶け込んだような暖かな色味が強くなったように思えます。冬の空はどこまでも遠く澄んでいて、眺めていると広い世界でひとりぼっちになったような気になります。それが春になると手に届くまで近づいてくれるようで、心もあたたかくやさしい気持ちになってきます。
どの季節の空がいちばん好きかといわれたら、以前は夏だと答えていたでしょう。彼方遠くまで広がる雄大な雲の群れを追いかけて、まだ見ぬ彼方まで旅してみたい気持ちになったものです。
現在では一番を選ぶことなく、どの空もそれぞれに魅力があると思っています。それは空だけでなく、何事にも当てはまる傾向です。優柔不断ともいえますが、選択する必要のないものをわざわざ選ぶことはないのです。
もう少し暖かくなったら、お気に入りの荒川土手を訪れてのんびり春の空を仰ぎたいと思っています。