クワガタの少年

先日はじめて隣近所に住んでいる男の子と話をしました。小学校を卒業し、四月から中学校に通うそうです。

彼は生き物が大好きで、とくにクワガタがお気に入りです。玄関の外にたくさんのクワガタの成虫を並べ、なにやら作業をしていました。

彼のお宅は玄関が高くなっていて、すこしかがめば彼と同じ目線で話ができます。普段は子どもに話しかけることはありませんが、パートナーと一緒にいたことと私たちの前にも話しかけているご夫婦がいたので覗き込んでみました。

美しい海外のクワガタや近くで採ったクワガタを見せてもらいながら、それぞれの特徴や逃げ出したときのご家族の反応などいろいろ話を聞かせてくれました。しばらく耳を傾けていると、彼は一旦部屋に戻って大切に育てている幼虫を見せてくれました。

クワガタの話はとても興味深いものでしたが、なにより彼の一所懸命な姿が魅力的でした。表情や話し方は非常に落ち着いているのですが、瞳はきらきらしていました。将来はクワガタのブリーダーになりたいそうなので、これからも好きなことを突き詰めていってほしいと思いました。

私も幼いころは絵を描く仕事がしたいと思っていましたが、現実的ではないので諦めていた時期がありました。しかしながら、高校時代に幼少期の思いに立ち返り、デザインを学ぼうと美大を目指すことになりました。それから五十に手が届きそうな現在までデザインの仕事を続けています。

振り返ってみれば、ほとんどの大人たちが素敵な夢だと応援してくれました。先日の少年を見ていると、彼にもあたたかく見守ってくれている大人たちがたくさんいるように感じました。どうか思いのままに、のびのびと自身の興味を突き詰めていってほしいと思います。

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