最近、仕事でナレッジシェアを行うためのツール設定に携わりました。ナレッジシェアは文字通り「知識の共有」で、主に社内ルールのようなマニュアルと各個人のスキルやノウハウを共有するために用いられます。
ナレッジシェアには専門のツールが多く出回っていますが、クラウドストレージやサーバに文書ファイルを保存して共有する昔ながらの方法もあります。さすがに印刷物を使用しているところは少ないでしょうが、ナレッジシェアはどの企業でも行っています。
マニュアルは組織の属人化を防ぐために非常に有用であり、人材の流動が激しい現代においては企業の成長を左右します。口頭で意思疎通ができるくらいの人数であれば問題ありませんが、中規模以上の組織では必須といえるでしょう。ただし、マニュアルを敬遠する人も多く、更新が遅れる場合もあり、完璧に運用することを望んではいけません。また、自身の仕事にしか興味がなく、共有する意識が希薄な人々も一定数います。多くの人たちを巻き込むべきですが、二割程度は理解してくれないと割り切るべきでしょう。
各個人のスキルやノウハウの共有はさらに運用が難しくなると思います。共有した本人が有用だと思う情報でも、他者からみて同じように感じることは稀です。おそらくは情報の発信のタイミングが他者のニーズに合致していないことが大きな要因だと思います。また、そのニーズが生まれるまで情報を蓄積しておけばよいと思っても、インターネットの情報量にはおよびません。結果、各々でスキルやノウハウを溜め込み、シェアする意欲もなくなって使われなくなるのだと思います。
私がこれまで勤めていた会社のほとんどがナレッジシェアツールを導入していましたが、大きさ如何にかかわらずなにかしらの課題を抱えていました。ナレッジシェアは直接的な利益にならないので、疎かにされることも多いです。経営者も自分では触らず、部下に任せざるを得ないため(マイクロマネジメントに陥らないようにするため)、彼らが「ちゃんと運用しよう」と鼓舞しても皆しらけるだけです。
最近携わったナレッジシェアツールの導入でも同じような課題が浮き彫りになりましたが、これは至極当然のことだと思います。まずはツールというインフラを整えて、その有用性をすこしずつ理解してもらえるように進めていこうと思っています。