会社は人が集まる組織であり、さまざまな人間関係がつくられています。決まった形というものはなく、人や時代によって変化するものです。
私は若い頃からマネジメントを任されていたこともあり、上司や部下との関係を常に模索してきました。若い頃は思い込みが強く、自分の価値観を押し付けることが多かったように思います。あのころ部下だった人たちに会うと今でも私を立ててくれるので、本当に申し訳ない気持ちになります。
では、歳をとった今はどうでしょうか。さまざまな人と出会い、いろいろな仕事をして、多くの経験を積むことができました。それ故にさらに思い込みが強くなり、過信が大きくなっていると思います。このため、自分の思い込みで人に接していないか顧みるようになりましたが、これもひとつの思い込みともいえます。
基本は他者ありきで、人を慎重に観察し、共感することが大事です。それでも、相手の言動がすべてその人の心を写し出しているわけではありませんし、どうしても私自身の推察が入ってきます。
家族や友人であれば、こちらの本心をぶつけて反応をみることはできますが、職場では難しいものです。人によってアプローチの仕方は異なりますし、世代や国によっても異なります。
今の職場では信頼関係をこつこつと築きあげ、皆から多少信用を得ていると思いますが、順調なときだからこそ冷静になり、俯瞰することが大切なような気がしています。
この人間関係の構築は会社と同僚の成長のためであり、自分が心地よく過ごすためではありません。目的を履き違えることなく、常に自分の思い込みを疑うようにしていきたいと思っています。