正月休みのひと騒動

昨年のお正月は母の緊急入院があって大変だったのですが、今年も同じ日にひと騒動ありました。家で飼っている猫の一匹が脱走したのです。

東京都豊島区池袋:猫

私の家の玄関はふたつのドアで仕切られています。内側のドアはいつも閉めているのですが、外出から戻って外側のドアを開けたら、猫が玄関にたたずんでいました。内側のドアは完全に閉まっていたので、下駄箱の上にある狭い隙間から抜け出したみたいです。驚いて捕まえようとしましたが、猫は一目散に庭へ逃げてしまいました。

下駄箱の隙間は高い位置にあり、これまで飼ってきた何十匹の猫たちの一匹もそこから玄関に抜け出したことはありませんでした。すぐに辺りをくまなく探しましたが、夜中なのでなにも見えません。玄関のドアを開けて餌を置いておくと深夜に戻ってきて食べていたようですが、内側のドアを開けると逃げてしまいました。翌朝あらためて探しましたが、気配さえ感じることができませんでした。

その日はずっと玄関を開けっぱなしにしていましたが、戻ってくる気配はありませんでした。内弁慶で極度の人見知りなので、日中は暗がりでじっとしていたのでしょう。寒いので凍えていないか、車に轢かれていないか、とても心配でした。

ふたたび夜になってしまってどうしたものかと思い、魚を焼いて匂いでおびき寄せる作戦を思いつきました。スーパーで縞ほっけを買い、換気扇を回して弱火でじっくりと焼きます。ほぐしたものを玄関に置いてみましたが、やはり姿を現しませんでした。

また寒い思いをさせるのは不憫だと思いつつ、魚を置いたままにして昨晩と同様に玄関の前で寝ることにしました。すると、深夜一時頃に姿を現したのです。

内側のドアを開けると逃げ出しましたが、家と塀の隙間でじっとしていました。名前を呼ぶとか細く応答してくれたので、一旦台所に戻って魚をレンジし、かけらをすこしずつ投げて玄関に誘導しました。失敗はできないので手に届く距離に近づいても安易に手を出さず、ここだというところでようやく捕獲しました。

一時間程度の攻防戦でしたが、一日ちょっとで帰ってきてくれたので安堵しました。飼っている猫たちは来客があると奥に逃げてしまい、帰ったあともなかなか出てきません。私が呼びかけても緊張を解かないので、今回反応してくれたことで勝機を確信できました。また、猫は愛情よりも食い気のほうが効果的だということが実感できました。

二日後は雨も強く非常に寒くなったので、あの晩に捕まえられて本当によかったと思っています。時間がなかったので塩気のある縞ほっけを選んでしまいましたが、すこしだけならたまに与えたいと思いました。

Scroll to top