二〇一九年の公孫樹

今年も文京区目白台にある公孫樹の紅葉を見にいきました。昨年は色づきがあまりよくありませんでしたが、今年はかつての美しさを取り戻していました。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

私の小説「センチメンタル」の舞台になった場所であり、中学生のころから訪れている特別な場所です。二本が仲良く並んでいる姿を眺めていると、心がとても落ち着きます。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

昨年は様子があまりよくなかったので元気な姿を見て安堵しましたが、まだすこし葉が少ないようにも思います。今年も台風による災害が多く、酷暑であったため、樹齢三百年以上の老木にはかなり負担があったのではないかと思っています。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

台風19号のときは、文京区も洪水や大雨警報が出ていたと思います。目の前の神田上水も危険だったことでしょう。現代になって川が氾濫することは少なくなり、公孫樹の後方にある水神社を祀る意味は薄れているのではないかと思っていましたが、やはり自然というのは恐ろしいものです。あらためて神様や自然を敬わなければならないと思いました。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

訪れた日は北風がすこし強かったのですが、西日が暖かく穏やかな日でした。公孫樹は一年の疲れを癒すべく、眠りに落ちる前のうたた寝をしているように見えました。

東京都文京区目白台:キンクロハジロ

できれば公孫樹にもたれかかって、そのまま一緒に眠りたいと思いました。しかしながら、寒さが厳しい冬はすぐそばまでやってきています。神田上水にはすでにキンクロハジロが飛来していました。水鳥たちが遠い故郷に帰るまで、私たちは春を待ち続けなければなりません。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

今年は私にもいろいろなことがありました。総じてよいことばかりでしたが、これからいろいろと大変そうな気がしています。公孫樹が眺める穏やかな風景とは異なると思っていますが、さてどうでしょう。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

ふたたび公孫樹と同じ世界に戻りたいと思っていますが、仕事人生はどんどん長くなっていきます。七十歳まで働かなければならないというと、あと二十四年もあるのです。
人生とはなかなか大変なものだなあと感じますが、疲れたときは公孫樹に会いに出かけて、やさしく慰めてもらえればと思っています。

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