二〇一八年の公孫樹

十二月の初めに目白台の永青文庫の脇にある水神社に行きました。境内にそびえ立つ二本の公孫樹の紅葉が美しく、この時期は毎年訪れています。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

以前のコラムでも紹介していますが、ここは私の小説「センチメンタル」の舞台になったところです。あの小説を書いてから、かれこれ五年が経とうとしています。
毎年この時期になると、公孫樹は幾重にも重なった枝に黄色い葉をたたえてこんもりと丸いシルエットを作ります。寄り添うように並んだ二本の樹がまるでひとつに合体したようになって、より雄々しく、美しい姿となります。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

しかしながら、今年はまだ緑の色を残していました。しかもどことなく葉の量が少ないように感じます。本来なら枝や隙間が見えないくらい葉が覆っているのに、どこか元気のない印象です。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

根元から仰ぎ見ても、やはり葉が少ないような気がします。私は中学生の頃からこの公孫樹の紅葉を見てきましたが、こんなことは初めてです。
詳しいことはわかりませんが、素人考えでは今年の夏の天候が原因しているのかなと思います。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

昨年の同じ時期に訪れたときは葉という葉が真っ黄色に染まり、とても見事でした。調べてみると東京ウォーカーの記事では、

「秋になって気温が低くなると紅葉が進み、美しい紅葉が見られるようになります」とのことで、夏の気温は直接的にはあまり影響しないのだそう。

このほかにも、紅葉に関係する気象条件として挙げられるのは適度な雨。樹木の生育を維持するためにある程度の雨量が必要になるからなのですが、台風や発達した低気圧などの影響で暴風が吹くと葉が傷んでしまうので、嵐のような雨は少ない方が好ましいとのことでした。

とのことで、もしかすると猛暑よりも台風などが影響しているのかもしれません。いつも美しい紅葉を見せてくれていたので少し心配です。しかしながら、この公孫樹は何百年もの時を生きています。その長い間にも過酷な天候に何度となく見舞われたことでしょう。それであっても現在まで雄々しい姿でいたので、きっと復活してくれると思います。

東京都文京区目白台:水神社の公孫樹

植物は思考や感情を持たないのに、どこか親しい友人や家族のように感じてしまいます。寂しいときや嬉しいとき、どんな時でも傍らで寄り添ってくれていると本当に安心します。この水神社の公孫樹には私の人生をずっと見守っててほしいと思うので、どうか元気でいてほしいと願っています。

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