海外から日本を想う

私は仕事の関係で、何年も日本を離れて暮らしています。
2008年に中国・上海で暮らし、一度日本へ帰国しましたが、しばらくして再び上海に戻りました。そして北京や香港に出張するなど慌ただしく過ごしているうちに、今年から大連に住むことになりました。

From Shanghai to Dalian

中国に来たばかりの頃は、東京へ帰ると違和感がありました。何十年も過ごした故郷の街なのに、雑踏のリズムや人々の感情の起伏のなさに馴染めずにいました。あの頃はむしろ上海のほうが自分にとって居心地の良い街であり、東京は少し窮屈に思えました。

しかし今はどうでしょう。おそらく小説を書き始めてからだと思うのですが、改めて東京、そして日本を故郷の国と実感するようになりました。以前は中国人や西洋人に囲まれれば囲まれるほど、自身の曖昧な性格やネガティブな思考が日本人であることを否応なしに感じさせ、もっと日本人も国際的なコミュニケーションを身につけるべきだと考えていました。しかし今はそういった経験を通り越して、逆にそんな日本人特有の性格も素敵だなと思うようになりました。

Xiamen, Fujian, China

東京に戻って街をぶらぶら散歩していると、自然の美しさを改めて感じます。日々移り変わる日本の自然の美しさを感じることで、繊細なものをきちんと認識できる日本人というのは素晴らしいものなのだと実感します。自然だけではなく、表情や言葉に加えて相手の状況や背景を細やかに感じ取り、人を思いやれる日本人は素敵だなと思います。

Xiamen, Fujian, China

もちろん、日本人特有の了見の狭さは好ましく思いません。繊細であらゆるものを敏感に感じ取れるならば、むしろおおらかに外国人や他者を理解するべきだと思います。
しかし、日本人という大きな枠組みだけで判断してしまうのもよくありません。人は一人ひとり異なる個性を持つため、全てを一様に見てしまうのは真実を見落とす可能性があります。特に怖いのが、中国人だから、韓国人だから、アメリカ人だからと他国の人々を色眼鏡で見てしまうことです。できる限り本人たちと直接交流して、個人として判断していきたいものです。

私は日本という国、文化・風習を愛しく思います。そこに生きる人々を大事に思います。そして、その良さをもっと海外の人々に伝えていきたいと思います。日本人は島国根性だと言われますが、歴史的には多くの人々が海外に渡ったり、留学をしています。そんな先人たちも、きっと日本的なおおらかさを持って外国人と接していたのでしょう。

今、日本はいびつなかたちで自分たちや周りの国々を捉えているように思います。
日本の国の意味を成す「和」の精神を持って、誇り高く柔軟に見つめ直してほしいと願っています。

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