去る2月3日、小説「センチメンタル(短編集)」テーマ曲の録音現場にお邪魔しました。
今回のテーマ曲は演奏家の方たちを束ねる作曲家の方にお願いしました。
1編ごとに1曲ずつ作曲していただき、合計4曲となります。
ピアノ、ヴァイオリンとヴィオラ、そしてサウルハープの4人編成。
どの曲も小説の世界観が十分に表現され、雰囲気もバラエティに富んでいます。
録音をお願いした方も含め、皆さんクラシックを中心に、音楽界の第一線で活躍されています。もしかして小説自体がかすんでしまうのでは?と心配していましたが、むしろ物語が引き立ち、世界観がより豊かなものとなりました。音を聴いて、この企画は大成功だったと確信しました。
録音スタジオは、高台にある古い家屋を改造したものです。
持ち主の方の曾お爺さまが建てられたそうで、元々はアトリエ兼別荘として使われていたのだそうです。家は木々が生い茂る庭にぽつんと建っていました。
でもこのシチュエーション、なにかを思い起こさせませんか?
そう、偶然にも「花壇のアトリエ」にそっくりなのです。
演奏家の方たちも鳥のさえずりなどが聞こえてきて、リラックスしながら演奏できたそうです。窓から見える鬱蒼とした木々の間から光がこぼれ、内とは異なる静寂が漂っている。まさに「花壇のアトリエ」の世界に迷い込んだ気がしました。
屋内にはロシアの家具が多く残っていました。曾お爺さまは満州に縁があったそうで、その影響が忍ばれます。その他の品々も一緒に眠っているように置かれていました。
最終的な編集作業は終わっていませんが、演奏した音の中にもこれらの印象がひっそりと忍び込んでいるかもしれません。皆さんに発表できることを、今から心待ちにしています。