Childhood(幼年期)

子どもの頃の記憶。普段は忘れがちですが、今でも輝きを失わず残っています。
今回は、私の幼年期を振り返りたいと思います。

Childhood(幼年期)

よく私は人から「子どもの頃のことをよく憶えている」と言われます。
なぜだか自分でも分からないのですが、よかったことも嫌だったことも、共に感情として思い出されることがあります。

Childhood(幼年期)

私には姉が二人いて、女性に囲まれて暮らしてきました。特に小学校に上がる前はそれが顕著で、母もふざけて女物の浴衣を着せたりして遊んでいました。

Childhood(幼年期)

小学校に入ってからもしばらく男よりも女の子と一緒にいるほうが楽でした。
小説でも主人公は女性ばかりですが、恐らくこの頃の環境が影響しているのだと思います。

Childhood(幼年期)

あの頃はひどく甘えん坊で、母のことが大好きでした。母は優しくもあり厳しくもありましたが、自分でできること以外は子どもに求めず、子どもが想像できる範囲のことしか教えませんでした。対して父は理想の人間というものを教え、高い志を植え付けようとしていました。父は毎日仕事で帰りも遅く、家にいることが少なかったので、私には見知らぬ「大人の」世界の住人として、少し怖く映っていたのかもしれません。

今考えれば二人のバランスが取れていたからこそ、それなりに成長できたのだなあとしみじみ感じますが、当時甘えん坊だった自分からすると、やはり母のほうが親しみやすかったです。

それでも父は日曜日になると、近くの土手や公園に連れて行ってくれました。そこにはおもちゃや遊園地のような面白いものはなく、退屈だと思うこともありましたが、そこで草や風の匂いなど、巡る季節に親しみを憶えたと思います。春のつくしの息吹き、土手近くの公園が水没するほどの威力を持つ台風の存在感、冬に見上げた渡り鳥と深く大きな空の色。これらのみずみずしい印象は、今も変わりません。

現在執筆している小説は、あの頃に培った感覚を文字に落とし込んだだけのものです。両親に感謝し、読者の方たちにもあの頃の純粋な気持ちを共有できたら嬉しいです。

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