センチメンタル:水神社

センチメンタル」の後半で結希と啓介が訪れる、水神神社(水神社)。
胸突坂と呼ばれる急勾配の坂の脇にぽつりと佇む小さな神社です。

文京区目白台 水神社

小さな石階段の両脇には、大きな公孫樹(イチョウ)が雄々しく立っています。
元禄10年(1697年)に社地を削って胸突坂を作ったと言われているため、それよりも以前に神社が建てられていたようです。三百年ほど前になると思いますが、公孫樹もその当時から存在していたのでしょうか。

文京区目白台 水神社

社は祠のように小さくて、豊かな木々に囲まれて眠っているようです。
目白台の崖の中腹にあり、眼下に流れる神田上水を一望できます。
説明板によると、上水の恩恵にあずかった神田、日本橋方面の人たちの参詣が多かったそうです。またこの辺りは田園地帯で、清らかな神田上水が流れ、早稲田の田んぼが広がっていたようです。目白台の椿山を背後にしつつ、西に富士山も見えたので、江戸時代は行楽地だったと言われています。

文京区目白台 水神社
小説では結希がこの石段に座り込んで、啓介と話をします。物語のハイライトになる重要なシーンなので、何度も描き直しをしながら結希の心情を読み取る努力をしました。
「これではまだ啓介を許せない」
「理解はできても感情がおさまらない」など、
結希は私の心へつぶやいてきます。その言葉に耳を傾け、何とか展開をつなげることができたとき、私も啓介のようにほっと胸を撫で下ろしました。

文京区目白台 水神社

彼らが話し込んでいたとき、公孫樹は上から静かにやり取りを眺めていたのかもしれません。

JR目白駅から都バス(白61系統)目白台三丁目下車、徒歩7分。
東京メトロ有楽町線・江戸川橋駅より徒歩15分。

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