身近なものたち

日々の生活のなかには、身近すぎて当たり前だと思っているものがたくさんあります。そして、それらに興味を抱くこともなく、そのまま通り過ぎてしまいます。

キンクロハジロ

東京は自然が少ないと嘆く人々がいます。たしかに地方と比較すれば、その差は歴然です。しかしながら、普段は目を向けないものに注目してみると、意外に豊かな自然が存在することに気づきます。

私は昔から何気ない野鳥や雑草、樹木などを見るのが好きでした。ときにたくましく、けなげに生きる姿はなんとも愛らしく、そして美しいものです。しかし、名前や特徴を知ろうとすることはありませんでした。メジロやサクラくらいなら名前と姿は一致しますが、他のものになるとてんでダメです。そこで最近、本を買って勉強することにしました。

キンクロハジロ

例えばこの白黒の水鳥、名前をキンクロハジロといいます。秋から春にかけて日本に訪れます。毛繕いで水上で仰向けになることもあるそうです。また、同じかたちで茶色のものはメスだそうです。

カルガモ

こちらはおなじみのカルガモです。マガモのメスなどと並べるとどれだか分からなくなりますが、調べておくと目にかかる茶色い線の模様が特徴だと分かります。

ヒメジョオン

この花はヒメジョオン。これはご存知の方も多いと思います。ハルジオンと区別がつきにくいのですが、秋に咲くのがヒメジョオン、春に咲くのがハルジオンです。漢字で書くと姫女苑、春紫苑ですが、なぜ「ジョオン」「ジオン」と読みが異なるかが分かります。

フジ

こちらは浜離宮恩賜庭園のフジ。花は有名ですが、樹皮を見て分かる人は少ないと思います。蔦(つた)が絡まった木をよく見ると、アリが列を作ってなにか作業をしていました。一体、何をしていたのでしょう。

積雲

空を見上げると、東京タワーの上に漂う積雲。通称わた雲と呼ばれる雲です。地表から2kmくらいまで、晴れた日に発生します。雲にだって、名前はあるのです。

スズメ

そして最後はスズメです。スズメの姿が分からない人は少ないと思いますが、意外にその生態は知られていません。スズメは鳴き声がたくさんあり、仕草もさまざまで見ていて飽きません。しかし寿命は非常に短く、個体差はありますが一年程度といわれています。とくに冬を越すのが非常に厳しく、秋に生まれると2ヶ月程度しか生きられない場合もあります。さらに年々個体数が減少しているといわれています。

ホシハジロ

ご紹介した生き物たちは非常に身近で、地味なものばかりです。しかし、じっくり観察したり調べたりすると面白い発見があります。そして、無機質な都会の中で生きるたくましさを感じます。私はそのたくましさこそが、自然の魅力なのではと思っています。
こうした当たり前のものに目を向けることで、ささやかでありながら心の豊かさを手に入れることができるのではないかと思います。なかなか時間や余裕がない生活を送っている方もいらっしゃると思いますが、週末に少し歩みを止めて、身近なものに目を向けてみてはいかがでしょうか。

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