二〇一五年の桜

三月の終わり、春の訪れを告げる満開の桜。先週末はのんびりとお花見散歩へ出かけました。とはいっても、いつも散歩する場所と変わりません。

東京都文京区:神田上水の桜

桜は春の一週間しか花をつけず、あっという間に散ってしまいます。それ以外は青々とした葉をつけているか、黒い枝をさらしているだけです。ですからこの時期になると「ああ、こんなところにも桜があったんだ」と気がつくものですが、私は普段から桜の木を意識しているのであまり驚きがありません。

東京都文京区:神田上水の桜

しかしながら、小さな花をたくさん纏っている姿を見ると、なんともいえぬ感動があります。お気に入りのお花見スポットはいくつか存在しますが、今年は目白台の桜を見ることにしました。

東京都文京区:目白台一丁目遊び場の桜

最初に訪れたのは、このコラムでも何度か登場している目白台一丁目遊び場です。まだ桜は満開ではありませんでしたが、冬の匂いが残っていて清々しく、眺めていて気持ちのよいものでした。

東京都文京区:神田上水の桜

そこから少し歩くと、神田上水の川縁りにたどり着きます。ここは桜並木が美しく、椿山荘の庭園と一緒に風景を楽しもうとする人々が多く訪れます。

東京都文京区:神田上水の桜

小説「センチメンタル」の舞台になった水神社の公孫樹から見ても、訪れた人々の多さが手に取るように分かります。公孫樹は葉を全て落としていましたが、相変わらず優美でおおらかな姿で迎えてくれました。

東京都文京区:神田上水の桜

桜は上水のせせらぎとあいまって、繊細ながらも雄大な美しさをたたえています。人々はこの風景を何十年も、何百年も愛してきたのでしょう。

東京都文京区:神田上水の桜

少し傾いた日に照らされた桜は、とてもはかない印象です。
来年も、再来年も、そして歳をとっても、この桜を見続けることができるのでしょうか。そんなことを思うとき、永遠と一瞬が重なるような錯覚に陥ります。

東京都北区王子:王子稲荷神社の桜

その他にも、ソメイヨシノで有名な北区王子の飛鳥山や、王子稲荷神社にも足を運びました。同じ桜でも、場所によってそれぞれ異なる風情があり、見ていて飽きません。来週の週末まで花が残っているか分かりませんが、もう少しだけ咲いていてほしいと願うばかりです。

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