スズメのはなし

皆さんにとって、スズメはどのような存在でしょうか。気にも留めないありふれた鳥、たまに見掛けて可愛いと思う程度の鳥、そんなところでしょうか。

スズメ

私にとってのスズメも、皆さんと同じようにありふれた生き物として認識していました。それでも彼らの存在は、とてもミステリアスなものです。

初めてスズメを強く意識したのは子どもの頃。路上で死んだスズメを拾ったときが印象深かったです。アスファルトにそのまま置いておいたら可哀想だと思い、土に埋めてやろうと手で触れたとき、なんて小さいのだろうと驚いた記憶があります。
例えば歩道橋などで同じ目の高さで信号機を見てみると、見上げたときよりも随分大きいものだと実感することがありますが、スズメはその逆でした。手のひらに収まるほど小さくて、それでいて複雑で美しい模様をしていました。

スズメ

私は幼少の頃から色々な動物に興味を持っていましたが、鳥はあまり興味がありませんでした。目が悪くてよく見えなかったこともありますし、飼うことができる鳥は大抵派手な色をしており生き物としての現実味がなかったこともあります。しかしスズメはとても地味で現実的でありながら、美しい模様をしており、自然の神秘を感じました。

それからというもの彼らを見掛けると、ついつい足を止めて観察してしまいます。

スズメ

そして昨年、上野の国立科学博物館で「スズメの謎」(三上修著、誠文堂新光社)
という本を購入しました。スズメの生息数を観測し研究を重ねる著者が、スズメを題材にして子どもたちに自然科学の魅力を分かりやすく伝える良書です。以前からスズメに興味のあった私にとって、とても面白い内容の本でした。

この本によると、スズメは桜が咲く頃に卵を産み始めます。温めやすいように母鳥のお腹の羽毛が抜け落ち、二週間しっかり抱卵します。そして孵化すると、そこから二週間でヒナは巣立ちを始めるのだそうです。孵化して二週間なんて、本当に早いですね。その後はしばらく親鳥について餌をもらったり獲物の捕まえ方などを学び、一週間程度で親元を離れます。

スズメ

ちょうど今、卵を産む時期なのだと思うと嬉しいですね。これからもう少し経つと、親鳥がヒナを連れているところを観察することができるかもしれません。
こうして身近にある何気ないものに興味を持ち、知識を付け、観察することで、新たな発見や感動があることを幸せに思います。スズメはすぐ目の前までくるのに触れることができないので、特にそのような感動を与えてくれます。「スズメの謎」では年々個体数が減り続けていると書かれていましたが、いつまでも日常の存在であり、小さな感動を与え続けてほしいと思っています。

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