警戒心と信頼

野鳥を観察していると、改めて彼らの警戒心が強いことが分かります。ほんの少しの間合いでも彼らの領域に踏み込んだり、不自然な行動を取ったりすることですぐに姿を消してしまいます。

シジュウカラ

とりわけシジュウカラなどの小さな野鳥たちは、すばしっこく身体も小さいため、あっという間に逃げられてしまいます。そのおかげで良い写真は未だに撮れないままですが、実はその警戒心というのは、至極当たり前のものだと思えます。

なぜなら野鳥たちは過酷な自然のなかで生きており、補食される危険が付きまとっているからです。闘う手段も持たず、威嚇することで精一杯でしょう。人間同士でさえ警戒心を持つのであれば、鳥が自身の何十倍もある人間を恐れるのは当然だと思います。

スズメ

しかしながらそう思うと、見ず知らずの人間にすり寄ってくる野良猫などは、よっぽどお人好しで人を信頼しているのだろうと思います。愛想の悪い猫に対して不満を言う人々もいますが、そのような猫の態度は当たり前の反応なのです。家や外の猫をなでたり抱いたりしているとき、私は彼らのリラックスした姿を見て不安になります。もしも人間が彼らを傷つけるようなことがあったら、逃げることができないからです。私を愛してくれている猫たちは、きっと私が彼らの命を取るようなことをしても、最後まで決して逃げることはないでしょう。そう思うと、とても怖い気持ちになります。

猫

そして人間同士でも、相手を信頼して自分自身をさらけ出します。これも野鳥や猫ほどではありませんが、危険が伴っている場合があります。もしも裏切られたら、傷つくようなことがあったらと、躊躇することもあるかもしれません。しかしだからこそ、信頼された自分自身は相手の気持ちを思いやって、しっかり受け止めてあげることが大切だと思います。

信頼という重さを知り、考えさせられる今日この頃です。

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