蓮の花

蓮は、仏教を象徴する花といわれます。清らかでありながら豊かな花弁と、繊細でおおらかな葉の形は、仏教を象徴する花としてぴったりだと思います。

東京都文京区本郷:蓮の花

しかし、そんな姿形ばかりに気を取られてしまいますが、蓮が仏教の象徴であるのには別の理由があります。有名な話ではありますが、少し紹介しておきたいと思います。

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」(北宋の儒学者である周茂叔の成句)にあるように、泥水のなかから生まれた花が美しい姿であり、仏の智慧や慈悲の象徴とされたことで仏教では重要視されてきたそうです。如来像の台座に蓮華が彫られることからも、この思想が見て取れます。確かに、日本の梅雨空と淀んだ池に浮かぶ一輪の花は、清らかで心が洗われるようです。これはヒンドゥー教で培われたもので、仏教へと受け継がれたそうです。

東京都文京区本郷:蓮の葉

人も同じように、どのような生まれや姿であっても、立派な心を持つ人はいます。また、どんなに醜い心にとらわれた人でも、必ず美しい心を持つ可能性があるものです。蓮はそういった思想を象徴するには最適の花であるといえます。

東京都江東区清澄:カタバミ

しかし宗教の崇高さには縁遠い、小さな存在の私が思うに、自然のあらゆるものは蓮と同じような思想を内包しているように思います。例えば、住宅地や幹線道路のコンクリートの隙間に咲く雑草たち、とりわけカタバミはガーデニングの大敵と忌み嫌われる植物ですが、春には可憐な花を咲かせます。カラスに追われ、人間に巣を撤去されるスズメも、繊細で美しい模様を持ち可愛らしくさえずります。

東京都江東区清澄:スズメ

蓮の花ももちろんですが、私はそういった身近な自然に気付きを得て、より人を見る目を養い自分自身を高めていけたらと思っています。少し地味に見えるかもしれませんが、そういった些細な事柄に気がつけることに幸福を感じる今日この頃です。

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