移り変わるサンフランシスコ

九月六日からサンフランシスコに一週間ほど出張しています。しかし、このコラムを書いているのは出張後なので「出張でした」というのが正しいですね。

SOMA, San Francisco, CA, United States

空港に降り立ってから帰りの飛行機に乗るまで、ほぼ仕事でしたのでコラムを書いている時間がありませんでした。海外出張には慣れているのですが、新しいことに挑戦することが多く、緊張の連続でした。

今回はSOMAという地区を中心に活動していたのですが、ここは以前から治安の悪い地区として有名でした。しかし最近はスタートアップ企業がオフィスを構え、そこに勤める人たちが住むようなマンションが次々と建設される活気ある地区として生まれ変わろうとしています。

SOMA, San Francisco, CA, United States

現在はその過渡期であり、まだ工業系の建物や更地が並び、ホームレスも多く道に佇んでいます。昼間は比較的安全ですが、観光客や海外に慣れていない人はあまり足を踏み入れる場所とはいえません。

米国の他の都市では、安全な場所と治安の悪い場所が、ある程度明確に分かれているような気がします。しかし、サンフランシスコではその境が非常に細かいようです。特にSOMAは発展途上、もしくは再開発地域なのでそれが顕著のように思います。

SOMA, San Francisco, CA, United States

ハイウェイの高架下などは荒地となっていて、ホームレスのテントが幾つも立ち並んでいます。古い建物の隣は更地になっていて、少しだけ物悲しい風景が広がっています。そこにいきなりお洒落な建物が建っていて、綺麗な格好をした人々が歩いています。

SOMA, San Francisco, CA, United States

こういう風景は、どこか私にはしっくり馴染みます。だんだんと消えゆく街の面影は、東京でもそこらじゅうに転がっているからです。どんなに寂しい場所でも、どんなに貧しい場所でも、そこには人々の暮らしや歴史が隠れています。皆同様に一所懸命に生きて、笑っては泣き、その地で生涯を閉じます。そんな人々の生活の片鱗を垣間見られるのは、私にとって最高の風景です。

一年後、もしくは数年でこのような風景はなくなるだろうとぼんやり考えながら街を歩いていました。SOMAの風景を見て、普通はそんなふうには考えないだろうと思うと、ちょっとだけ笑えてきました。

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