シティライツ・ブックストア

サンフランシスコの出張で唯一行きたかった場所である、シティライツ・ブックストア。

シティライツ・ブックストア:San Francisco, CA, United States

シティライツ・ブックストアは、ビート・ジェネレーションの聖地として有名な書店です。詩人のローレンス・ファーレンゲッティが創立し、ケルアックやアレン・ギンズバーグに代表されるビート・ジェネレーションの作家を広く紹介したことで有名です。

シティライツ・ブックストア:San Francisco, CA, United States

私の高校当時、60年代のカルチャーが再評価されました。私はヒッピーの思想に感化されましたが、その源流とも言えるビートジェネレーションにも興味を持ち、他の人々と同様にケルアックの「路上」を読んで一気に傾倒するようになりました。時代的にも、ジム・ジャームッシュやヴィム・ヴェンダースが注目された頃で、彼らもビート・ジェネレーションに影響を受けていました。つまり私は、流行りに乗っていたということになります。

シティライツ・ブックストア:San Francisco, CA, United States

ジャズを聴きこんだのもビート・ジェネレーションの影響があります。ビ・バップのCDを図書館で借りたり、高校生にもかかわらずジャズ喫茶で演奏に酔いしれていたものです。

Greyhound:Transbay bus Terminal, San Francisco, CA, United States

大学時代には夏休みを利用して米国に行き、バックパックを背負ってLAからニューヨークまで長距離バス(グレイハウンド)に乗って各地を転々としました。これもケルアックの「路上」やヴェンダースの「パリ、テキサス」のように、放浪を夢見た結果です。自分を知る人が半径八千キロ以上いない場所に彷徨う孤独に酔いしれ、米国でささやかな暮らしを営む人々と交流する喜びは、代え難い思い出となりました。

シティライツ・ブックストア:San Francisco, CA, United States

その後も機会があるごとにビート・ジェネレーションの作品に触れてはいましたが、シティライツ・ブックストアだけは赴くことはありませんでした。最近は「その本質さえ心の中にあれば、あれこれ調べたり行ったりする必要はない」と思っていたところもあります。しかし、仕事も少し一段落したので、せっかくだからと足を運んでみました。

シティライツ・ブックストア:San Francisco, CA, United States

店内は観光地化された雰囲気はありましたが、当時の雰囲気を残した素晴らしいものでした。二階に上がるとビート・ジェネレーションにまつわる書籍や記念品が集められており、見応えがありました。さらに現行書籍も揃えており、今も書店としてきちんと機能しているようでした。ビート・ジェネレーション好きの方ならば、必ず満足すると思います。

シティライツ・ブックストア:San Francisco, CA, United States

私は子どもの頃からぶらぶらと寂しい場所を歩くのが好きで、今でも同じ場所に留まることなく彷徨う感覚を持っています。そんな私と同じような人々がいることを教えてくれたビート・ジェネレーションというカルチャーに、改めて感謝する次第です。

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